
こんにちは!
今回紹介する言葉は、孟子の
「貧賤も移すこと能わず。」
という言葉です。
「貧賤(ひんせん)」とは、貧しいことや、身分が低いこと。
そして「移すこと能わず」とは、心や志を変えることができない、という意味です。
つまり、
「どれだけ苦しい状況に置かれても、自分の大切にしているものを簡単には変えない」
ということです。
人生には、思うようにいかない時期があります。
仕事がうまくいかなかったり、人から評価されなかったり、経済的に苦しくなったり。
そんなとき、つい「自分が間違っているのかな」と考えてしまうこともありますよね。
今回は、そんな場面をたとえ話にしながら、この言葉が伝えていることを紹介します。
ことばの意味
「貧賤も移すこと能わず。」
これは、
「どれほど貧しく苦しい境遇になっても、自分の志や信念を変えない」
という意味です。
ここで大切なのは、「何があっても意地を張れ」という話ではないことです。
環境が変われば、考え方や行動を見直すこともあります。
むしろ、柔軟に対応することも大切です。
ただし、孟子が言っているのは、
「状況に合わせて方法を変えること」と「自分の大切な信念まで捨てること」は違う
ということなんです。
たとえば、仕事で失敗したからといって、
「自分には価値がない」
と決めつける必要はありません。
収入が減ったからといって、
「自分は人より劣っている」
と考える必要もありません。
周囲から評価されない時期があっても、
「これだけは大切にしたい」
と思えるものまで手放す必要はないんです。
人生が順調なときよりも、苦しいときのほうが、自分が何を大切にしているのかが見えてくる。
孟子の言葉には、そんな意味も感じられます。
たとえ話
ここで、一人の男性の話をしてみましょう。
名前は「健一さん」とします。
健一さんは、長年まじめに仕事を続けてきました。
派手な出世をしたわけではありません。
それでも、約束を守ること、人に誠実であることだけは大切にしてきました。
ところが、ある時、会社の業績が悪化。
健一さんの収入も大きく減ってしまいました。
周囲からは、
「そんなに真面目にやっても損するだけだよ」
「もう少し要領よくやったほうがいい」
と言われます。
確かに、そう思ってしまう気持ちも分かります。
生活が苦しくなれば、不安になります。
「今まで自分が大切にしてきたものって、何だったんだろう」
と迷うこともあるでしょう。
それでも健一さんは、
「状況が変わっても、人に誠実であることまで捨てる必要はない」
と考えました。
仕事のやり方は変えました。
必要なものは節約しました。
新しい仕事にも挑戦しました。
でも、人をだましてまでお金を得るようなことはしませんでした。
その後も、健一さんは状況に合わせて仕事のやり方を変えながら、人に誠実であることだけは変えませんでした。
もちろん、現実はこんなに簡単にはいかないかもしれません。
それでも、この話で大切なのは結果ではありません。
苦しい状況になったとき、自分まで変えてしまう必要はない
ということです。
孟子がいう、
「貧賤も移すこと能わず。」
とは、まさにこういうことです。
苦しい状況に置かれても、自分が大切にしてきた道まで手放さない。
それが孟子のいう「大丈夫」の姿なのです。
ことばの起源
この言葉は、中国の思想家・孟子の言葉です。
『孟子』の「滕文公章句下」に登場します。
実は、この言葉には続きがあります。
「富貴も淫すること能わず、貧賤も移すこと能わず、威武も屈すること能わず。」
という有名な一節です。
意味を簡単にすると、
- お金や地位があっても、心を乱されない
- 貧しく苦しい状況でも、志を変えない
- 権力や力で脅されても、屈しない
ということ。
そして孟子は、こういう人を
「大丈夫」
と呼んでいます。
ここでいう「大丈夫」は、現在使われている「大丈夫です」という意味ではありません。
「富や地位、貧しさや権力に左右されず、自分の道を守る立派な人物」という意味です。
これは、単に「何があっても意地を張る」という話ではありません。
孟子は、この一節の前で、
「天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行う」
と説いています。
つまり、仁・礼・義という、人として大切な道を歩むことを土台にしているんです。
だからこそ、
「何があっても自分を曲げない」
という言葉に深みがあります。
ただ頑固なのではありません。
自分が正しいと思う道を持っているから、簡単には流されない。
これが孟子の考える「大丈夫」なんですね。
この言葉を収めた『孟子』は、後世の日本にも受け継がれてきました。
江戸時代には儒学が広まり、孟子の思想も日本の学問や思想に影響を与えました。
「富貴も淫すること能わず、貧賤も移すこと能わず、威武も屈すること能わず」という一節も、日本で長く知られてきた言葉の一つです。
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今回の「貧賤も移すこと能わず」という言葉にも通じる、環境に振り回されず、自分のこれからを自分で選んでいくためのヒントが詰まった一冊です。
今の自分から一歩踏み出したいときに読んでみてください。
まとめ
今回紹介した言葉は、
「貧賤も移すこと能わず。」
でした。
意味は、
「どれほど苦しい境遇になっても、自分の大切な志を簡単には変えない」
ということです。
人生では、順調なときばかりではありません。
仕事で思うような評価を得られないこともあります。
生活が苦しくなることもあります。
周囲と比べて、自分だけ取り残されたように感じることもあるでしょう。
でも、そんなときだからこそ、
「自分にとって本当に大切なものは何なのか」
を考えてみる。
孟子の言葉は、そんなきっかけを与えてくれます。
環境が変わってもいい。
考え方が変わってもいい。
ただし、長い人生の中で「これだけは大切にしたい」と思えるものまで、無理に手放さなくてもいい。
苦しいときに、自分の軸を失わない。
それが「貧賤も移すこと能わず」という言葉が、今を生きる私たちに伝えてくれる大切なメッセージではないでしょうか。
それでは、また次回👋