威武も屈すること能わず|どんな圧力にも負けず、自分の信念を貫く

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こんにちは!

今回は、中国の思想家・孟子もうしが説いた言葉、「威武いぶも屈くっすること能あたわず」をご紹介します。

人は誰でも、強い立場の人から圧力をかけられたり、周囲の意見に流されそうになったりすることがありますよね。

本当は間違っていると思っていても、反対すれば面倒なことになる。

自分の考えを曲げたほうが楽だと感じる。

そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、どれほど強い相手を前にしても、自分が正しいと信じる道を簡単には曲げない。

孟子は、そんな人間のあり方を大切にしました。

今回は、この言葉の意味を、身近なたとえ話を交えながら紹介します。

ことばの意味

「威武も屈すること能わず」とは、どれほど強い権力や武力で脅されても、自分の信念を曲げないという意味です。

「威武」とは、権力や武力によって人を従わせる強い力のこと。

「屈すること能わず」は、屈服しないという意味です。

つまり、権力や武力に屈せず、自分の信念を貫く姿勢を表しています。

孟子は、これを立派な人間の条件の一つとして説きました。

ここで大切なのは、単に頑固であることとは違う、という点です。

自分の意見を何が何でも押し通すことが、信念を貫くことではありません。

大切なのは、相手の立場や権力におびえることなく、自分の良心に照らして物事を判断することです。

たとえば、職場で上司から不正な処理を指示されたとします。

断れば評価が下がるかもしれません。

人間関係が悪くなる可能性もあります。

それでも、間違っていると分かっていることには、きちんと「できません」と伝える。

こうした姿勢も、この言葉に通じるものがあります。

もちろん、何でも正面から対立すればよいわけではありません。

冷静に話し合ったり、適切な相談先に助けを求めたりすることも大切です。

相手の強さに負けないことと、感情的に争うことは違う。

この違いを理解しておきたいですね。

たとえ話

ある会社に、佐藤さんと田中さんという二人の社員がいました。

二人とも仕事熱心で、周囲からの信頼も厚い人物です。

ある日、二人は上司から、取引先に提出する報告書の数字を実際よりもよく見せるよう指示されました。

上司はこう言います。

「今回だけでいいんだ。会社のためにも、少しくらい数字を調整してくれないか」

佐藤さんは困りました。

本当の数字を報告すべきだと分かっていましたが、上司に逆らえば評価が下がるかもしれません。今後の仕事にも影響するでしょう。

そこで佐藤さんは、上司の指示に従ってしまいました。

一方、田中さんも悩みました。

上司の機嫌を損ねたくない気持ちは、佐藤さんと同じです。

しかし、事実と異なる報告をすれば、取引先に迷惑をかけ、会社の信用まで失いかねません。

田中さんは、勇気を出して伝えました。

「申し訳ありません。実際と違う数字を報告することはできません。事実に基づいた報告書を作成し、改善策も一緒に提案させてください」

上司は不満そうな顔をしましたが、田中さんは感情的になることなく、事実と自分の考えを説明しました。

その後、会社では報告内容を見直し、問題点を改善するための話し合いが行われました。

佐藤さんも、自分の判断が正しかったのか、改めて考えるようになりました。

現実の職場では、正しいことを主張しても、不利益を受ける場合があります。

それでも、相手の立場や権力だけを理由に不正に従わないことが大切です。

田中さんの行動は、「威武も屈すること能わず」という言葉を体現したものといえるでしょう。

ことばの起源

「威武も屈すること能わず」は、中国の戦国時代に活躍した思想家・孟子の言葉です。

出典は、中国の古典『孟子』の「滕文公章句下とうぶんこうしょうく・げ」です。

孟子が、立派な人物とはどのような人かを説いた、次の一節に登場します。

「富貴も淫すること能わず、貧賤も移すこと能わず、威武も屈すること能わず。此れを之れ大丈夫と謂う。」

読み下し方には表記の違いがありますが、現代の言葉に置き換えると、次のような意味になります。

  • 富貴も淫すること能わず:富や地位によって、心や生き方を乱されない。
  • 貧賤も移すこと能わず:貧しさや苦しい境遇に置かれても、志を変えない。
  • 威武も屈すること能わず:権力や武力で脅されても、屈服しない。

そして、こうした姿勢を持つ人こそが「大丈夫だいじょうふ」、つまり人格的に立派な人間なのだと孟子は説いています。

ここでいう「大丈夫」は、現代の日常会話で使う「問題ありません」という意味ではなく、志や人格を備えた立派な人物を指します。

この教えは日本にも伝わり、儒学や漢文の学びを通じて受け継がれてきました。

現代でも、仕事や人間関係で判断に迷ったとき、自分が何を大切にすべきかを考える手がかりになります。

おすすめ書籍

『漫画 君たちはどう生きるか』(原作:吉野源三郎、漫画:羽賀翔一)

自分にとって何が正しいのか、どのように生きるべきなのかを、物語を通して考えられる作品です。

主人公のコペル君が、さまざまな経験をしながら人間として大切なことを学んでいきます。

周囲の意見に流されず、自分の良心に従って行動する大切さを考えたい方にもおすすめです。

漫画なので読みやすく、仕事や人間関係で迷ったときにも、自分の生き方を見つめ直せるでしょう。

まとめ

今回ご紹介した「威武も屈すること能わず」は、強い相手から圧力をかけられても、自分の信念を曲げないことの大切さを教えてくれます。

周囲の意見に流されそうになったときは、自分にとって何が正しいのか、いったん立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

相手と争うことではなく、自分の良心を見失わずに判断すること。

それが、この言葉から学べる大切な姿勢です。

それでは、また次回。