富貴も淫すること能わず|お金や地位に心を惑わされない

こんにちは!

今回は、中国の思想家・孟子の言葉、富貴ふうきいんすることあたわず」について、たとえ話を交えながら紹介します。

お金や地位、名誉を手に入れると、気持ちが大きくなったり、周囲の評価を気にしたりすることがありますよね。

そんなときに思い出したいのが、今回の言葉です。

富貴も淫すること能わず|ことばの意味

「富貴も淫すること能わず」とは、簡単にいうと、

「お金や地位を得ても、心を惑わされてはいけない」

という意味です。

ここでいう「富貴ふうき」とは、財産が豊かなことや、社会的な地位・身分が高いことを指します。

また、「いんする」は、現代の「みだらなことをする」という意味ではありません。

ここでは、財産や地位に心を奪われ、心を乱されたり、自分を見失ったりするという意味で使われています。

つまり、孟子は「お金持ちになるな」「出世するな」と言っているわけではありません。

お金や地位を持つこと自体が悪いのではなく、それらに心を奪われて、自分の大切な考えや正しい行いを失ってはいけないと説いているのです。

たとえば、仕事で出世したときに、以前は大切にしていた人への思いやりを忘れてしまう。

あるいは、お金を得たことで、「自分のほうが偉い」と人を見下してしまう。

こうした状態にならないように、自分の心をしっかり持つことが大切だという教えです。

たとえ話|出世した二人の違い

ある会社に、同じ時期に昇進した二人の社員がいました。

一人は、昇進したことをきっかけに、周囲への接し方が変わっていきました。

以前は同僚の話をよく聞いていたのに、役職が上がると、部下の意見を聞かなくなりました。

「自分は責任者なのだから、言うことを聞けばいい」

そんな態度が目立つようになったのです。

一方、もう一人の社員も、昇進によって仕事の責任は増えましたが、以前と変わらず周囲の意見に耳を傾けました。

むしろ、「立場が変わったからこそ、謙虚でいなければ」と考え、困っている人がいれば手を差し伸べました。

数年後、二人の周囲には大きな違いが生まれていました。

前者の周りには、表面上は従っていても、本音を話す人が少なくなっていました。

後者の周りには、困ったときに相談してくれる人や、協力してくれる人が集まっていました。

この話のように、地位やお金を手に入れたときこそ、その人が何を大切にしているのかが表れることがあります。

大切なのは、何を手に入れたかだけではありません。

それを手に入れたあとも、自分らしさや人への思いやりを失わずにいられるかどうかです。

ことばの起源|孟子が説いた「大丈夫」の生き方

「富貴も淫すること能わず」は、中国の古典『孟子』の滕文公下とうぶんこうかに登場する言葉です。

この言葉は、単独で語られることも多いですが、実際には次の一節の一部です。

富貴も淫すること能わず。
貧賤も移すこと能わず。
威武も屈すること能わず。
此れをこれ大丈夫と謂う。

現代の言葉にすると、

「お金や地位に心を惑わされず、貧しい境遇にあっても志を変えず、権力や武力にも屈しない。このような人物を本当の大丈夫という」

という意味になります。

ここでいう「大丈夫」は、現代の「問題がない」という意味ではありません。

「立派な人物」「信念を持った人物」という意味です。

この言葉が生まれた背景には、孟子と景春けいしゅんという人物との対話があります。

景春は、強い権力を持ち、怒れば諸侯を恐れさせるような人物こそ、本当の「大丈夫」ではないかと考えていました。

それに対して孟子は、権力を持っているだけでは、本当の大丈夫とはいえないと説きます。

本当の大丈夫とは、周囲の状況や目の前の利益に振り回されず、自分の信念を貫いて生きる人物なのです。

この考え方は、現代の私たちにも通じるものがあります。

仕事で高い地位を得たとき。

思いがけず大きなお金を手にしたとき。

周囲から評価され、注目を集めたとき。

そんな場面でこそ、「自分は何を大切にしているのか」を忘れないことが大切なのかもしれません。

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お金や地位を手に入れることが、そのまま幸せにつながるとは限りません。

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今回の「富貴も淫すること能わず」が伝える、財産や地位に心を奪われず、自分にとって大切なものを見失わないという考え方ともよくつながります。

お金との付き合い方を考えながら、人生の豊かさについて見つめ直したい方におすすめの一冊です。

まとめ|手に入れたものに心を奪われない

今回は、孟子の言葉、

「富貴も淫すること能わず」

を紹介しました。

この言葉は、

「お金や地位を得ても、それに心を惑わされず、自分の大切な考えを失わないこと」

を教えてくれます。

財産や社会的な立場は、人生を豊かにしてくれるものです。

しかし、それらを手に入れることだけが、人生の価値ではありません。

どれだけ環境が変わっても、謙虚さや思いやり、自分が大切にしてきたものを忘れない。

そんな生き方を、孟子は「大丈夫」と呼んだのです。

何かを手に入れたときこそ、自分の心を見つめ直す。

この言葉を、そんなきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

それでは、また次回👋