現存天守・復元天守・復興天守・模擬天守の違い|お城の見方が変わる4つの種類

「このお城の天守って、昔から本当に残っているの?」と思ったことはありませんか?

実は、日本にある天守は、すべてが江戸時代から残っているわけではありません。

現存する天守もあれば、昔の写真や図面をもとに再建した天守もあります。

さらに、当時の姿を想像して建てたものや、天守がなかった場所に建てられたものまであります。

では、それぞれどんな違いがあり、歴史上どんな役割を果たしたのでしょうか。

今回は、現存天守げんそんてんしゅ復元天守ふくげんてんしゅ復興天守ふっこうてんしゅ模擬天守もぎてんしゅの違いを、歴史や城主のエピソードと一緒にわかりやすく紹介します。

現存天守とは?江戸時代から残る天守です

まず知っておきたいのが「現存天守」です。

現存天守とは、江戸時代までに建てられた天守が、修理などを重ねながら現在まで残っているものを指します。

現在、日本に残る現存天守は12城だけです。

そのうち姫路城、松本城、彦根城、犬山城、松江城の5城は国宝です。

たとえば姫路城は、池田輝政が大改修を行ったことで知られます。

白い外壁から「白鷺城しらさぎじょう」と呼ばれるほど、美しい姿をしています。

しかも、ただ美しいだけではありません。

迷路のような道や高い石垣など、敵を簡単に天守へ近づけない工夫もあります。

つまり現存天守は、昔の建物を眺めるだけではありません。

当時の城主がどんな城を作り、どう守ろうとしたのかまで感じられる場所です。

「何百年も前の人が、ここを歩いていた」と考えると、ちょっとワクワクします。

復元天守とは?昔の姿を資料から再現した天守です

次は「復元天守」です。

これは、昔の写真や図面、絵図などの資料をもとに、失われた天守をできるだけ当時の姿に近づけて再建したものです。

代表的な例として知られるのが愛媛県の大洲城おおずじょうです。

大洲城では、明治時代の古写真や江戸時代の絵図、天守雛形などをもとに天守を復元しています。

そのため、昔の姿をかなり具体的に知ることができます。

大洲城に関わった城主として有名なのが藤堂高虎とうどうたかとらです。

高虎は築城の名手として知られ、全国各地の城づくりに関わりました。

ここが復元天守のおもしろいところです。

「昔の城をもう一度作った」と聞くと簡単そうですが、実際には資料を集め、当時の姿を考え、建物を再現する必要があります。

つまり復元天守は、昔の姿を現代によみがえらせる大きな挑戦です。

復興天守と模擬天守は何が違う?ここが一番ややこしい!

最後は「復興天守」と「模擬天守」です。

この2つは名前が似ているので、ちょっと混乱します。

復興天守は、かつて天守があった場所に、史料などを参考にしながら再建された天守を指すことが一般的です。

代表例として大阪城があります。

現在の大阪城天守は、豊臣秀吉の時代の天守をそのまま再現したものではありません。

現在の天守は1931年に再建され、豊臣時代の天守を参考にしながらも、当時の姿を正確に再現したものではありません。

「秀吉の大阪城がそのまま残っている」と思ってしまうと、ここは少し違います。

一方の模擬天守は、昔の天守が実際にあったかどうかにかかわらず、天守をモデルにして作られた建物です。

代表例として、静岡県の熱海城があります。

つまり、ざっくり覚えるなら、

現存=昔の天守がそのまま残っている
復元=資料をもとに昔の姿を再現する
復興=昔の天守を参考にして再建する
模擬=天守の存在や姿に関係なく、天守風の建物を作る

と考えるとわかりやすくなります。

「この天守は本物かな?」と考えながら見るだけでも、城めぐりが少し楽しくなります。

まとめ|天守の違いがわかると、お城めぐりがもっと楽しくなります

お城の天守には、現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守があります。

見た目はどれも「お城」に見えますが、そこにたどり着くまでの歴史はまったく違います。

現存天守なら「どうして何百年も残ったのか」を考えられます。

復元天守なら「昔はどんな姿だったのか」を想像できます。

復興天守なら「なぜこの形になったのか」を調べる楽しみがあります。

模擬天守なら「なぜここに天守が作られたのか」という地域の歴史を知るきっかけになります。

次にお城へ行ったときは、天守の大きさや写真映えだけでなく、その天守が現存・復元・復興・模擬のどれなのかにも注目してみてください。

知れば知るほど、「ただのお城」ではなくなります。

おすすめ書籍

『お城の値打ち』(著:香原斗志)

「現存天守・復元天守・復興天守・模擬天守って、何が違うの?」と、もう少し詳しく知りたくなった人におすすめの一冊です。

なぜ昔のお城がたくさん失われたのか、なぜ現在のような天守が作られたのかなど、お城の歴史をわかりやすく掘り下げています。

「昔から残っているお城」と「後から再建されたお城」を知ると、城めぐりの見方も変わります。

今回の記事をきっかけに、お城の見た目だけでなく、その背景にある歴史まで楽しみたい人にぴったりの一冊です。