067【忠信行えば、義に至らん】(ちゅうしんおこなえば、ぎにいたらん)

「まごころ」と「信頼」が正しい道を導いてくれる

正しいことって、時々すごくむずかしく感じませんか?
「これは本当に正しいのかな」と迷ったり、「正しいことをしたのに損をした」と感じたり。
そんな時、孔子が教えてくれるヒントがこの言葉です。

忠信行えば、義に至らん
(ちゅうしん おこなえば、ぎに いたらん)

意味は、「まごころ(忠)と信頼(信)を持って行動すれば、やがて“義”(正しさ)にたどり着ける」ということ。

つまり、正しさに自信がなくても、誠実に、うそをつかずに行動すれば、自ずと正しい道に導かれるという、人生の指針のような教えです。


たとえ話で見る:「迷いながらも誠実に歩く人」

ある若者が、初めての職場で仕事を覚えながら奮闘していました。
「自分のやり方が正しいのか」と不安に思いながらも、彼はいつも誠実に対応し、同僚やお客さんにも丁寧な言葉で接し続けました。

ある日、トラブルが起きたとき、彼のまっすぐな姿勢を見てきた周囲の人たちは「この人の言うことなら信じられる」と自然と協力し、問題は大事にならずに解決。

結果的に、彼の誠実さが“正しさ”を引き寄せたのです。

これはまさに、「忠信を行えば、義に至る」ことを表す現代の例と言えるでしょう。


出典と意味の背景:『論語』の「衛霊公」篇より

この言葉は『論語』の「衛霊公(えいれいこう)」篇に登場します。

子曰く、忠信行えば、義に至らん。敬慎持すれば、恥を辱められざらん。

ここで孔子は、「忠(まごころ)と信(信頼)を行えば、人としての正義(義)に至る」と言い、さらに「敬(つつしみ)と慎(しんちょう)を保てば、恥ずかしい思いをしなくて済む」と続けます。

つまり、「自分を磨く道は、難しく考えるよりも、日々の誠実さと信頼を大切にすることから始まる」という教えです。


現代に活かすヒント:「正しさ」より「誠実さ」を第一に

私たちはときに、「正しいことを証明しよう」として相手を言い負かしたくなることがあります。
でも、孔子が大事にしているのは、「正しさを貫く姿勢」ではなく「まごころと思いやりのある行動」。

  • 嘘をつかない

  • 相手を思って行動する

  • 言ったことを守る

そうした行いが、最終的に「この人は信じられる」と評価され、自然と“正しい在り方”として周囲から受け入れられるのです。


おわりに:「正しさは、誠実さの積み重ねの先にある」

人生には「何が正しいかわからない」と悩む場面がたくさんあります。
でも、そんな時にこそ、孔子のこの一言を思い出してみてください。

「忠信行えば、義に至らん」

  • まごころを忘れず

  • 嘘をつかず

  • 誠実な行動を重ねる

それこそが、遠回りに見えて、実は最も確かな“正しい道”につながっているのです。