066【学は以て已むべからず】(がくはもってやむべからず)

「学びは一生やめてはいけない」

子どもの頃は「勉強しなさい」と言われ、大人になると「もう勉強なんて…」と遠ざけがち。
でも、人生の中で本当に必要な「学び」は、むしろ年齢を重ねてからこそ深まるものかもしれません。

そんな“学ぶことの本質”を教えてくれるのが、この孔子の言葉です。

学は以て已むべからず
(がくは もって やむべからず)

意味は、「学びは途中でやめてはいけない。一生続けるべきである」ということ。

これは、単なる“知識を増やす”ための勉強ではなく、「より良く生きるための学び」を説いた言葉なのです。


たとえ話で見る:「学びを止めた人」と「続けた人」

ある職人の話です。

Aさんは若い頃から技術を磨いて一流になりましたが、ある年を境に「もう十分だ」と学びをやめてしまいました。
一方、Bさんはベテランになっても「まだ知らないことがあるはず」と新しい素材や技術に触れ続けました。

数年後、時代が変わり新しいニーズが生まれたとき、Bさんの仕事は多くの人に求められるようになりました。
Aさんは時代に合わず、引退を余儀なくされたといいます。

この違いを生んだのは、「学びをやめたか、続けたか」。
まさに孔子の言葉を体現するようなエピソードです。


出典と解釈:『論語』の「泰伯(たいはく)」篇より

この言葉は、『論語』の「泰伯」篇に登場します。

子曰く、学は以て已むべからず。青は之を藍より取りて藍よりも青く、氷は水これを為して水よりも寒し。木を瑩(みが)かざれば則ち不折(おれず)、金を礪(と)がざれば則ち不利なり。人の生くるや直し。学びて以てその道を成す。

孔子はこの中で、「学ぶことで人は素材以上の価値を持つ」と説いています。

  • 染料の青は藍草から取るが、藍よりも青くなる

  • 氷は水からできているが、水より冷たい

  • 木や金属も磨かなければ本来の力を発揮できない

人もまた同じで、学ぶことで本来の能力を超え、輝きを増していく
だからこそ、学びをやめてはいけないのです。


現代の視点で見る:「学び続ける人」が時代を生き抜く

今は時代の変化がとても早く、「一度覚えたこと」がすぐに通用しなくなることもあります。

  • 技術の進化(AI・プログラミングなど)

  • 社会の価値観の変化(働き方・暮らし方)

  • グローバルな視野の必要性

こうした変化に柔軟に対応できるのは、「学ぶことをやめなかった人」だけ。

学び続けるという姿勢は、自分をアップデートし続ける力そのものです。


おわりに:「一生学び、一生成長する」

孔子が伝えた「学は以て已むべからず」は、「学びとは人生そのものだ」というメッセージとも言えます。

  • 本を読む

  • 人の話に耳を傾ける

  • 失敗から学ぶ

  • 自分を見つめ直す

こうしたすべてが“学び”であり、それを続けることで、人として磨かれていく。

「もう学ぶことなんてない」と思ったときこそ、学びのスタートライン。
一生を通じて成長し続ける人でありたいですね。