(ちゅうこくしてよくこれをみちびき、ふからなればすなわちやむ。みずからはずかしむることなかれ)
こんにちは!
人にアドバイスしたのに、聞いてもらえなかった経験ってありませんか?
「どうして分かってくれないの!?」と、もやもやしてしまうこともありますよね。
でも、そんなときこそ思い出したいのが、この孔子の言葉です。
◆ 今回の言葉
「忠告して善くこれを道き、不可なれば則ち止む。自ら辱しむること無かれ」
(ちゅうこくしてよくこれをみちびき、ふからなればすなわちやむ。みずからはずかしむることなかれ)
意味はシンプルです。
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心から忠告し、丁寧に導く。
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それでも相手が受け入れなければ、無理に続けず引き下がる。
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それをもって、自分を責めたり恥じる必要はない。
つまり、「伝えるべきことは伝える。でも、それ以上は無理に押しつけない。そして、自分を否定しない。」という、とてもバランスの取れた生き方の知恵です。
◆ たとえ話でイメージしてみよう
■ やさしい兄の忠告
ある兄弟がいました。
弟は最近、周囲を気にせずわがままな行動が増えてきました。
兄は心配して、「自分のことだけでなく、相手の気持ちも考えてみたら?」とやんわり忠告しました。
でも弟は「うるさいな」と聞く耳を持ちません。
そこで兄は、それ以上は何も言わず、そっと引きました。
ある日、弟が友達とのトラブルで落ち込んだとき、ようやく兄の言葉を思い出しました。
兄は無理に押しつけず、でも大事なことは一度きちんと伝えていた。
その姿勢こそが、孔子の言う「忠告して道き、不可なれば止む」なのです。
◆ 出典と背景
この言葉は『論語』の「衛霊公(えいれいこう)篇」に登場します。
孔子は「他人の心を変えること」はとても難しいことだと分かっていました。
だからこそ、真心をもって丁寧にアドバイスすることは大切だけれど、限界を見極める冷静さも大切だと説いています。
そして何より──
相手に受け入れてもらえなかったからといって、自分の価値が下がるわけではない。
それが「自ら辱しむること無かれ」の核心です。
◆ 現代にどう活かせる?
この言葉は、人間関係で悩みがちな現代人にもピッタリのアドバイスです。
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伝えるべきことは、誠実に・丁寧に伝える
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でも、無理に変えようとしない
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拒絶されても、自分を責めない
親子関係、職場でのアドバイス、友人との会話など、あらゆる場面でこの考え方が生きてきます。
「言ったのに通じなかった…」と落ち込むより、
「伝えることはできた」と自分を認めてあげましょう。
◆ おわりに ~“伝える”と“引く”のバランス~
この論語の言葉は、**アドバイスとは“戦い”ではなく“橋をかけること”**だと教えてくれます。
でも、その橋を渡るかどうかは、相手次第。
渡らなかったとしても、橋をかけたあなたの誠意は、決して無駄ではありません。
伝えたあなたは、もうじゅうぶん立派です。
無理に変えようとせず、でも諦めるわけでもなく。
そんな“静かなやさしさ”を持ちたいものですね。
次回も、心にすっと沁みるような論語の言葉を取り上げていきます。