047【忠告して善くこれを道き、不可なれば則ち止む。自ら辱しむること無かれ】(ちゅうこくしてよくこれをみちびき、ふからなればすなわちやむ。みずからはずかしむることなかれ)

こんにちは!

人にアドバイスしたのに、聞いてもらえなかった経験ってありませんか?

「どうして分かってくれないの!?」と、もやもやしてしまうこともありますよね。

でも、そんなときこそ思い出したいのが、この孔子の言葉です。

今回の言葉

忠告ちゅうこくしてくこれをみちびき、不可ふかなればすなわむ。みずかはずかしむることかれ」

意味はシンプルです。

  • 心から忠告し、丁寧に導く。
  • それでも相手が受け入れなければ、無理に続けず引き下がる。
  • それをもって、自分を責めたり恥じる必要はない。

つまり、「伝えるべきことは伝える。でも、それ以上は無理に押しつけない。そして、自分を否定しない。」という、とてもバランスの取れた生き方の知恵です。

たとえ話

■ やさしい兄の忠告

ある兄弟がいました。

弟は最近、周囲を気にせずわがままな行動が増えてきました。

兄は心配して、「自分のことだけでなく、相手の気持ちも考えてみたら?」とやんわり忠告しました。

でも弟は「うるさいな」と聞く耳を持ちません。

そこで兄は、それ以上は何も言わず、そっと引きました。

ある日、弟が友達とのトラブルで落ち込んだとき、ようやく兄の言葉を思い出しました。

兄は無理に押しつけず、でも大事なことは一度きちんと伝えていた

その姿勢こそが、孔子の言う「忠告して道き、不可なれば止む」なのです。

出典と背景

この言葉は『論語』の「衛霊公篇えいれいこうへん」に登場します。

孔子は「他人の心を変えること」はとても難しいことだと分かっていました。

だからこそ、真心をもって丁寧にアドバイスすることは大切だけれど、限界を見極める冷静さも大切だと説いています。

そして何より──

相手に受け入れてもらえなかったからといって、自分の価値が下がるわけではない

それが「自ら辱しむること無かれ」の核心です。

現代にどう活かせる?

この言葉は、人間関係で悩みがちな現代人にもピッタリのアドバイスです。

  • 伝えるべきことは、誠実に・丁寧に伝える
  • でも、無理に変えようとしない
  • 拒絶されても、自分を責めない

親子関係、職場でのアドバイス、友人との会話など、あらゆる場面でこの考え方が生きてきます。

「言ったのに通じなかった…」と落ち込むより、「伝えることはできた」と自分を認めてあげましょう。

おわりに

この論語の言葉は、アドバイスとは“戦い”ではなく“橋をかけること”だと教えてくれます。

でも、その橋を渡るかどうかは、相手次第。

渡らなかったとしても、橋をかけたあなたの誠意は、決して無駄ではありません。

伝えたあなたは、もうじゅうぶん立派です。

無理に変えようとせず、でも諦めるわけでもなく。

そんな“静かなやさしさ”を持ちたいものですね。

次回も、心にすっと沁みるような論語の言葉を取り上げていきます。