048【不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲のごとし】(ふぎにしてとみかつたっときは、われにおいてふうんのごとし)

こんにちは!
現代社会では「成功」といえば、たいてい“お金”や“地位”を思い浮かべがちですよね。

でも、その成功は「どうやって手に入れたか?」がもっと大切じゃないか?
そんな本質をズバッと教えてくれるのが、今回の孔子の言葉です。


◆ 今回の言葉

「不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲のごとし」
(ふぎにしてとみかつたっときは、われにおいてふうんのごとし)

意味はとても明快です。

  • 正しくない方法で得たお金や地位は、私にとっては“ただの浮雲”だ。

つまり、「それらに価値を感じない」と孔子ははっきり言っています。

“浮雲”は空にふわふわ浮かんで、形もなく、すぐに消えてしまう存在。
正しくない手段で得たものは、それと同じくらい儚く、無価値なものだということですね。


◆ たとえ話でイメージしてみよう

■ 二人の商人

町に二人の商人がいました。

Aさんは誠実にコツコツと商売をし、地道に信頼を集めていました。
Bさんは、裏で偽の商品を混ぜて安く売り、短期間で大金を得ました。

数年後──
Bさんの店は評判を落とし、取引先も離れて破産。
Aさんは派手さはないけれど、地域の信頼を得て長く愛される商人に。

Bさんの一時の“成功”はまさに「浮雲」だったのです。


◆ 出典と背景

この言葉は『論語』の「述而(じゅつじ)篇」に出てきます。
孔子が**「富」や「名声」に惑わされず、道徳と誠実さを重視して生きるべき**だと語った場面です。

当時の中国でも、「金持ち=成功者」という価値観がありましたが、孔子はあえてそれに一石を投じました。

彼にとって最も大切なのは「義(ただしさ・人としての道)」でした。


◆ 現代にどう活かせる?

現代でも、結果ばかりが評価されがちです。

  • 収入が高い=すごい人

  • 地位がある=立派な人

でも、その「結果」をどう得たか?が、やっぱり大事ですよね。

  • 誰かをだまして得たお金

  • ごまかして上がった評価

そういったものは、長く続かず、自分の心にも後悔を残すことが多いものです。

この論語の言葉は、私たちにこう問いかけてきます。

「その成功、あなたの誠実さを犠牲にしていませんか?」


◆ おわりに 〜 真の成功とは何か 〜

孔子は、「ただ金持ちになること」や「名声を得ること」には全く興味を持ちませんでした。

“義”を貫いた上での成功こそが、本物である。
それ以外は、ただ空に浮かぶ雲のようなもの──すぐに消える幻。

目の前の利益や称賛に目がくらんだとき、この言葉を思い出せば、自分の“軸”を取り戻せるはずです。


次回も、人生をすっきり整えてくれる論語の言葉をご紹介していきます。