042【立つこと未だ立たざる者を立たしめ、達すること未だ達せざる者を達せしむ】(たつこといまだたたざるものをたたしめ、たっすることいまだたっせざるものをたっせしむ)

こんにちは!

今回は、誰かを思いやる「教育」や「支援」の心を表す、孔子の温かく力強い言葉をご紹介します。

あなたの周りに、「ちょっと背中を押してあげたい人」はいませんか?

あるいは、「自分も誰かに支えられてここまで来たな」と感じること、ありませんか?

そんな“育てることの本質”を教えてくれるのが、今回の論語の一節です。

今回の言葉

「立つこと未だ立たざる者を立たしめ、達すること未だ達せざる者を達せしむ」
(たつこといまだたたざるものをたたしめ、たっすることいまだたっせざるものをたっせしむ)

意味:
自分が立っているなら、まだ立てていない人を立たせ、自分が達成したなら、まだ達成していない人を導くべきだ。

この言葉には、孔子の「仁(じん)=思いやりの心」が込められています。

たとえ話

■ 昔の町にいた「師匠と弟子」の話

ある町に、とても腕の立つ木工職人の師匠がいました。

若い弟子はまだまだ未熟。でも師匠は怒ることなく、こう言いました。

「お前が一人で棚を作れるようになるまでは、俺の背中を見てろ。
できるようになったら、今度はお前が誰かを教えてやれ」

やがて弟子は、棚作りも家の修理も一人前にこなせるように。

そのとき初めて、師匠の言葉の意味がわかったのです。

「人を育てることが、本当に“立った”ということなんだ」と。

この物語は、まさに「立たざる者を立たしめ、達せざる者を達せしむ」の実践です。

出典と背景

この言葉は、『論語』の「雍也篇ようやへん」に収録されています。

弟子・顔回とのやり取りの中で、孔子が「仁とは何か」と問われたときの答えの一部です。

孔子にとっての「仁」は、単なる優しさではなく、相手を導く行動を伴う思いやり

自分の力を、自分だけのために使わず、他人のためにも使うこと。

それこそが、仁の本質とされているのです。

現代にどう活かせる?

この言葉は、教育・子育て・リーダーシップ・チームワーク、どんな場面にも応用できる、大切な心構えを教えてくれます。

  • 学んだことを、誰かに伝える
  • 成功した方法を、周囲とシェアする
  • 自分がしてもらったことを、今度は誰かに返す

こうした「連鎖」が広がっていけば、社会全体が豊かになります。

おわりに

「自分が立てたからこそ、誰かを立たせる」

「自分が達成できたからこそ、誰かの道しるべになれる」

そう考えると、人生の“達成”は、ゴールじゃなくてスタートなのかもしれませんね。

この論語の言葉を胸に、今日から誰かの“小さな支え”になってみませんか?

次回も、『論語』の中から、心がすっと整うような言葉をお届けします。

どうぞお楽しみに!