
こんにちは!
今回は、誰かを思いやる「教育」や「支援」の心を表す、孔子の温かく力強い言葉をご紹介します。
あなたの周りに、「ちょっと背中を押してあげたい人」はいませんか?
あるいは、「自分も誰かに支えられてここまで来たな」と感じること、ありませんか?
そんな“育てることの本質”を教えてくれるのが、今回の論語の一節です。
今回の言葉
「立つこと未だ立たざる者を立たしめ、達すること未だ達せざる者を達せしむ」
(たつこといまだたたざるものをたたしめ、たっすることいまだたっせざるものをたっせしむ)
意味:
自分が立っているなら、まだ立てていない人を立たせ、自分が達成したなら、まだ達成していない人を導くべきだ。
この言葉には、孔子の「仁(じん)=思いやりの心」が込められています。
たとえ話
■ 昔の町にいた「師匠と弟子」の話
ある町に、とても腕の立つ木工職人の師匠がいました。
若い弟子はまだまだ未熟。でも師匠は怒ることなく、こう言いました。
「お前が一人で棚を作れるようになるまでは、俺の背中を見てろ。
できるようになったら、今度はお前が誰かを教えてやれ」
やがて弟子は、棚作りも家の修理も一人前にこなせるように。
そのとき初めて、師匠の言葉の意味がわかったのです。
「人を育てることが、本当に“立った”ということなんだ」と。
この物語は、まさに「立たざる者を立たしめ、達せざる者を達せしむ」の実践です。
出典と背景
この言葉は、『論語』の「雍也篇」に収録されています。
弟子・顔回とのやり取りの中で、孔子が「仁とは何か」と問われたときの答えの一部です。
孔子にとっての「仁」は、単なる優しさではなく、相手を導く行動を伴う思いやり。
自分の力を、自分だけのために使わず、他人のためにも使うこと。
それこそが、仁の本質とされているのです。
現代にどう活かせる?
この言葉は、教育・子育て・リーダーシップ・チームワーク、どんな場面にも応用できる、大切な心構えを教えてくれます。
- 学んだことを、誰かに伝える
- 成功した方法を、周囲とシェアする
- 自分がしてもらったことを、今度は誰かに返す
こうした「連鎖」が広がっていけば、社会全体が豊かになります。
おわりに
「自分が立てたからこそ、誰かを立たせる」
「自分が達成できたからこそ、誰かの道しるべになれる」
そう考えると、人生の“達成”は、ゴールじゃなくてスタートなのかもしれませんね。
この論語の言葉を胸に、今日から誰かの“小さな支え”になってみませんか?
次回も、『論語』の中から、心がすっと整うような言葉をお届けします。
どうぞお楽しみに!