043【性相近し、習い相遠し】(せいあいちかし、ならいあいとおし)

こんにちは!
今回は、「人の違いって、生まれつきじゃなくて、育ちや学びの違いなんだよ」という、ちょっと希望の湧く孔子の言葉をご紹介します。

たとえば、こんなふうに思ったことありませんか?

  • 「あの人は生まれつき頭がいいから…」

  • 「自分には才能がないから無理…」

そんなときに、この言葉がそっと背中を押してくれるかもしれません。


◆ 今回の言葉

「性相近し、習い相遠し」
(せいあいちかし、ならいあいとおし)

意味:人の性質(本性)は、生まれつきあまり差はない。
でも、学びや習慣の違いによって、あとから大きな差が生まれる。

つまり、「生まれより、育ちや学びが大事だよ」というメッセージです。


◆ たとえ話でイメージしてみよう

■ ある小さな村のふたりの子ども

AくんとBくんは、同じ日に同じ村で生まれた幼なじみ。
最初は走るのも、しゃべるのも、絵を描くのも、ほとんど変わらなかった二人。

でも、Aくんは親が毎晩本を読んでくれて、自然と読書が好きに。
Bくんは外で遊ぶのが好きで、体を動かすことが得意になった。

10年後──
Aくんは物知りで本を出版する夢を持ち、Bくんはサッカー選手を目指して努力中。
二人とも違う道だけど、どちらもキラキラしていた。

この違いは、“才能”ではなく“習い(学びや経験)”がつくったもの。
まさに孔子の言葉どおりですね。


◆ 出典と背景

この言葉は『論語』の「陽貨(ようか)篇」に出てきます。
孔子は人間の成長において、生まれよりも“学び”の重要性を説いています。

当時の中国でも「人の優劣は生まれで決まる」という考え方が強かったなか、
孔子ははっきりと「学べば変われる」と語ったのです。

これは今の時代にも通じる、希望に満ちた言葉ですよね。


◆ 現代にどう活かせる?

この言葉は、勉強だけでなく、仕事や人間関係、趣味、子育てにも応用できます。

  • 「どうせ自分にはできない」と諦めそうになったとき

  • 子どもや部下の成長を信じられなくなったとき

  • 「あの人と比べて…」と落ち込んでしまったとき

そんなときは、「性相近し、習い相遠し」を思い出してみてください。
可能性は誰の中にもあり、その差は“これからの積み重ね”で変えられるんです。


◆ おわりに 〜違いをつくるのは、日々の積み重ね〜

「才能」は、与えられるものじゃなくて、育てるもの。
「差」は、最初からあるんじゃなくて、後からできるもの。

だから、今の自分にがっかりする必要はありません。
大切なのは、“今ここからどう学ぶか”。

一歩ずつの習いが、未来の自分をつくります。


次回も、『論語』の中から心に残る言葉をご紹介します。
「才能ってなんだろう?」と考えたときに、また読み返してみてくださいね!