050【与に善を同じうして之を悪しきとせず、与に悪を同じうして之を善きとせず】(ともにぜんをおなじうしてこれをあしきとせず、ともにあくをおなじうしてこれをよきとせず)

こんにちは!
人間関係に悩んだとき、「誰と付き合えばいいんだろう…」と考えたことはありませんか?

今回紹介する孔子の言葉は、そんなときにこそ心の指針になる「信頼できる人の見極め方」を教えてくれます。


◆ 今回の言葉

「与に善を同じうして之を悪しきとせず、与に悪を同じうして之を善きとせず」
(ともにぜんをおなじうしてこれをあしきとせず、ともにあくをおなじうしてこれをよきとせず)

意味を噛み砕くとこうなります:

  • 一緒に善いことをしておきながら、あとで「あれは悪かった」と否定しない。

  • 一緒に悪いことをしておきながら、「あれは正しかった」と言い訳しない。

つまり、善悪の判断をころころ変えず、真っ直ぐに物事を見ている人こそ信頼に値するということ。


◆ たとえ話でイメージしてみよう

■ 昔なじみの友達とトラブル

あなたには、学生時代からの仲良しの友人がいるとします。

ある日、二人で会社のルールを軽く破ってしまいました(例えば、無断で会議室を使ったりなど)。
そのときは「まあいいか」と笑っていたのに、後日問題になったとき…

その友人は上司の前でこう言います。

「あれは自分は反対だったんですけど、○○さんがやろうって言って…」

――あなたの信頼はガラガラと崩れますよね。

孔子は、その逆に「善いことをしたら、ずっと善いこととして共有し続ける」
「悪いことをしてしまったなら、正直に悪かったと認める」
そういう“誠実な姿勢”を持った人を、大切にしなさいと教えているのです。


◆ 出典と背景

この言葉は『論語』の「衛霊公(えいれいこう)篇」に登場します。
孔子が「人を見る目」「人と付き合う基準」について語った章です。

当時も今と同じく、人付き合いは人生の重要なテーマでした。
だからこそ、信頼できる人物とはどういう人か、孔子は明確に定義したのです。


◆ 現代にどう活かせる?

今の時代、SNSでもリアルな関係でも、
「表向きは仲良く」「裏では手のひら返し」ということ、ありますよね。

  • 人の前では「いいね」ばかりするのに、陰では悪口

  • うまくいってるときは一緒にいて、失敗すると離れる

  • その場の空気や立場で言うことを変える

そうした関係に振り回されないためにも、
この論語の言葉を心に留めておくことが大切です。


◆ おわりに 〜 変わらぬ誠実さこそ信頼の証 〜

孔子はこう伝えています。

「一緒に善いことをしてくれた人が、後でそれを悪く言ったら、その人を信用してはいけない」
「一緒に悪いことをしてしまった人が、それを美化するようなら、その人とも距離を置くべきだ」

私たちが人を信じる基準は、「賢さ」や「優しさ」だけではなく、
“変わらない誠実さ”を持っているかどうかなのです。

あなたのそばにいる人は、どんな“善悪”の向き合い方をしていますか?