100【士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し】 (しはもってこうきならざるべからず。にんおもくしてみちとおし)

「大きな志を抱く者には、強くしなやかな心が必要だ」

人生の目標を本気で追いかけようとしたとき、
やることが多すぎて気が遠くなったり、
人に笑われて不安になったり――
途中で投げ出したくなること、ありますよね。

でも、「遠くまで行こう」とする人こそ、強い心を持たねばならない
そう語ったのが、今回ご紹介する孔子の言葉です。


論語の一節:「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」

子曰、「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。」
(し のたまわく、「し は もって こうき ならざるべからず。にん おもくして みち とおし」)

現代語訳:
「志ある者は、心が広く強くなければならない。なぜなら、担うべき責任は重く、進むべき道は長いからだ」


たとえ話:マラソンを走る青年の決意

ある日、青年がフルマラソンに挑戦することを決めました。
理由はシンプル、「何かに本気で挑戦したい」と思ったから。

最初はやる気に満ちていましたが、練習が進むにつれて
疲労、挫折、周囲からの冷ややかな視線に心が折れそうに。

それでも青年は、こう思い直しました。
「42.195kmの道のりは、長いからこそ意味がある」
「この重さを乗り越える力を、自分の中に育てよう」

完走したとき、彼の目には涙があふれていました。
それはゴールへの達成感だけでなく、自分自身を信じ切った証でもあったのです。

まさに孔子の言う「任重くして道遠し」、
そして「弘毅(広く強い心)」を体現した姿でした。


背景と意味:「弘毅」とは何か?

「弘」は心が広いこと、
「毅」は意志が強いこと。

孔子が理想とした“士(し)”とは、
社会のため、他人のために志を抱き、行動する人物。
その人物には、広い心と折れない意志が必須であると説いています。

なぜなら、その人の背負う責任(任)は重く、
理想にたどり着くまでの道(道)は遠いからです。


まとめ:目指すものがあるなら、まず心を鍛えよう

・大きな目標には、それに見合う「器」が必要
・責任や道のりの“重さと長さ”に耐える強さを持とう
・「広い心」と「強い意志」があれば、人はどこまでも進める

夢を追うのは簡単じゃないけれど、
その道を「遠く長く」歩こうとするあなたを、
孔子は静かに励ましてくれています。

「だからこそ、君は弘毅であれ」と。