百戦百勝は善の善なる者にあらず|戦わずに勝つことこそ最善の策

こんにちは!

今回は、古代中国の兵法書『孫子』に登場する言葉、「百戦百勝は善の善なる者にあらず」について、たとえ話を交えながら紹介します。

「百回戦って百回勝つ」と聞くと、誰もがすごいことだと思いますよね。

ところが、この言葉は「それが最も優れた方法とは限らない」と教えています。

いったい、どういう意味なのでしょうか?

百戦百勝は善の善なる者にあらずとは?

「百戦百勝は善の善なる者にあらず」

読み方は、「ひゃくせんひゃくしょうは、ぜんのぜんなるものにあらず」です。

現代の言葉に言い換えると、

百回戦って百回勝つことが、最も優れた方法とはいえない。

という意味になります。

ここでいう「善の善なる者」とは、「最も優れたもの」「最高の方法」といった意味です。

つまり、どれだけ勝ち続けたとしても、戦うたびに時間やお金、体力などを消耗してしまうなら、それが本当に良い方法なのかを考える必要がある、ということです。

『孫子』では、この言葉に続けて、

「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

と述べています。

これは、

戦わずに相手の抵抗を抑え、目的を達成することこそ、最も優れた方法である。

という意味です。

現代の生活に置き換えるなら、何でも正面からぶつかって解決しようとするのではなく、事前の工夫や状況に応じた方法を考え、余計な争いを避けることが大切だと考えられます。

たとえ話|毎回勝つ人と、そもそも争わない人

ある会社に、営業成績を競い合う二人の社員がいました。

一人は、何事にも負けたくないAさんです。

ライバル会社が新しい商品を出せば、すぐに対抗商品を考えます。取引先との交渉でも、相手より有利な条件を引き出そうと、何度も激しく交渉します。

その結果、Aさんは多くの商談を成功させ、周囲から「負け知らずの人」と呼ばれていました。

一方、もう一人のBさんは、少し違う考え方をしていました。

Bさんは、ライバル会社と競い合う前に、お客様が何を求めているのかをじっくり聞きます。そして、他社と価格だけで争うのではなく、自社ならではのサービスを考えました。

また、取引先とも普段から信頼関係を築き、「この人に相談したい」と思ってもらえるよう努めていました。

しばらくすると、Aさんは多くの商談に勝っているものの、交渉や競争に時間と体力を使い、疲れがたまっていました。

一方のBさんは、無理に争うのではなく、お客様との信頼関係を築くことで、自然と相談や依頼が集まるようになっていました。

もちろん、Aさんの努力も立派なものです。

しかし、Bさんのように、争わなくても目的を達成できる環境をつくることも、非常に優れた方法といえます。

この話のように、「百戦百勝は善の善なる者にあらず」は、ただ勝ち続けることよりも、余計な争いを避け、損失を少なくしながら目的を達成することが大切だと教えてくれます。

ことばの起源|『孫子』の「謀攻篇」に登場する言葉

「百戦百勝は善の善なる者にあらず」は、古代中国の兵法書『孫子』に由来する言葉です。

『孫子』は、兵法家の孫武そんぶが著したとされる書物で、戦争における考え方や戦略についてまとめられています。

この言葉は、全13篇のうち、謀攻篇ぼうこうへんに登場します。

その前後では、相手の国や軍をできるだけ無傷のまま屈服させることが上策であり、戦って打ち破ることは、それよりも下の策であると説かれています。

つまり、孫子が重視しているのは、単に敵を倒すことではありません。

自分たちの損害を抑えながら、目的を達成することなのです。

この考え方は、現代でも仕事や人間関係など、さまざまな場面に応用できます。

意見が対立したとき、相手を言い負かすことだけを考えるのではなく、お互いが納得できる方法を探す。

仕事で競争するときも、目先の勝ち負けだけでなく、長く続けられる仕組みを考える。

そんな姿勢にも、この言葉の知恵が生かされています。

なお、この言葉は老子の言葉として紹介されることがありますが、出典は『孫子』です。似たような古典の言葉と混同しやすいので、ここは覚えておきたいところですね。

おすすめ書籍

『分かり合えない人をうまくかわす技術』(著:田所俊作)

人間関係で無理に相手を変えようとしたり、正面からぶつかったりせず、自分を守りながら関係を整える方法を学べる一冊です。

「百戦百勝は善の善なる者にあらず」という言葉にも通じる、無理に争わず問題を解決するという考え方が、現代の人間関係に置き換えてわかりやすく解説されています。

職場や家庭など、簡単には離れられない相手との付き合い方を考えるときにも役立つ内容です。

まとめ|勝つことだけが、最善とは限らない

今回は、「百戦百勝は善の善なる者にあらず」という言葉を紹介しました。

この言葉は、

百回戦って百回勝つことが、最も優れた方法とは限らない。戦わずに目的を達成することこそ、最善の策である。

という教えです。

私たちは、つい「勝つこと」や「相手に負けないこと」を意識してしまいます。

しかし、何度も争って勝つよりも、争いを避けたり、事前の工夫によって問題を解決したりするほうが、心にも時間にも余裕が生まれることがあります。

仕事でも人間関係でも、すべてに全力で立ち向かう必要はありません。

「本当に戦う必要があるのか?」と一度考えてみること。

それだけでも、物事の見え方が変わるかもしれません。

それでは、また次回👋