
どれだけスキルがあっても、どれだけ見た目が立派でも――
「この人、なんか信用できないな…」
と思われたら、関係は長く続きません。
逆に、ちょっと不器用でも「この人は信頼できる」と感じた相手とは、安心して一緒にやっていけるものです。
信用は、目に見えないけれど、とても大切な“土台”。
そんな信頼の重要性を、孔子はシンプルで力強い言葉で語っています。
論語の一節
「人にして信無くんば、其の可なるを知らず」(為政篇より)
■ 意味をやさしく言うと…
- 人にして信無くんば:人として信用がなければ
- 其の可なるを知らず:その人の本当の価値(よさ)も分からない
つまりこの言葉は、
「人として信頼されないのであれば、その人の価値を評価することはできない」
という意味です。
たとえ話
あなたがリーダーだとして、2人の部下がいたとします。
- Aさん:ものすごく仕事ができるけど、納期をごまかしたり、報告を怠ったりする
- Bさん:少し仕事は遅いけれど、約束は守るし、相談や報連相をきちんとする
長く一緒に働いていきたいと思うのは、きっとBさんではないでしょうか?
どんなに能力があっても、「信用できない人」では不安がつきまといます。
それほど、“信は人間関係の根本”なんです。
出典と背景
この言葉は『論語』の「為政篇」に登場します。
孔子は、国家の運営にも個人の生き方にも「信頼」が最も重要であると繰り返し説いています。
この「信」とは、単なる誠実さだけではなく、“言ったことを守る”“一貫性がある”といった、行動全体を含んだものです。
孔子にとって、「信」がなければ、人はどれだけ知識があっても、どれだけ力を持っていても、信用できる存在にはなれないのです。
現代にどう生かせる?
- 小さな約束を守る
- 嘘をつかない
- ミスを隠さず報告する
- 「やります」と言ったことはやり切る
こうした“信”の積み重ねが、信頼を築く土台になります。
信用を得るには時間がかかるけれど、失うのは一瞬。
だからこそ、日々の行動がとても大切なんですね。
まとめ
信頼されない人は、たとえどれだけ能力があっても、認められない。
信頼される人は、それだけで価値がある。
「信用される自分でいること」――
それが、すべての人間関係のスタート地点なのだと、孔子は教えてくれます。

