上善は水の若し|水のように争わず、しなやかに生きる

こんにちは!

今回は、老子の有名な言葉、

上善じょうぜんみずごとし」

をご紹介します。

「上善」とは、最高にすぐれた生き方のことです。

では、なぜ老子は「水」を最高の生き方にたとえたのでしょうか?

水は、流れる場所に合わせて形を変えます。

高いところから低いところへ流れ、誰かと競争することもありません。

それなのに、長い時間をかければ、硬い岩さえ少しずつ削っていきます。

今回は、身近なたとえ話を交えながら、この言葉が教えてくれる「無理をしない生き方」について紹介します。

ことばの意味

「上善は水の若し」は、

「最高にすぐれた生き方とは、水のようなものだ」

という意味です。

『老子』第8章に出てくる言葉で、続きには、

水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に処る。

とあります。水はあらゆるものに恵みを与えながら、争うことなく、人が嫌がる低い場所へ流れていく、という意味です。

ここが、この言葉の大事なところです。

水は「自分が一番上に行こう」としません。

低いところへ流れ、器に入れば器の形になります。

でも、それは水に力がないということではありません。

川の流れは大地を削り、長い年月をかけて岩の形さえ少しずつ変えていきます。

つまり老子が教えているのは、

「弱くなりなさい」ということではなく、「無理に争わず、柔軟に生きなさい」

ということなんですね。

私たちの生活でも、すべてに勝とうとすると疲れてしまいます。

仕事でも人間関係でも、

「自分のほうが正しい」

「相手に負けたくない」

「もっと上を目指さなければ」

と考えていると、知らないうちに心が疲れていきます。

そんなときは、水のように少し力を抜いてみる。

それだけでも、見える景色が変わるかもしれません。

たとえ話

ある会社に、AさんとBさんという二人の社員がいました。

Aさんは、とても負けず嫌いです。

仕事では常に自分の意見を通そうとします。

会議でも、

「それは違います」

「私の考えのほうが正しいです」

と、相手を論破しようとします。

もちろん、仕事への熱意はあります。

でも、周囲との衝突が増え、少しずつ疲れていきました。

一方、Bさんは少し違いました。

もちろん自分の意見はあります。

ただ、相手の話も聞きます。

「そういう考え方もありますね」

と受け止めたうえで、自分の考えを伝えます。

意見が通らないときも、必要以上に争いません。

その代わり、状況が変われば、自分のやり方も変えます。

ある日、大きな仕事でトラブルが起きました。

Aさんは、

「だから最初から私の言ったとおりにすればよかったんです」

と主張しました。

Bさんは、

「では、今できることから考えましょう」

と言いました。

結果として、周囲の人が自然とBさんのところに集まりました。

Bさんは、誰かに勝ったわけではありません。

むしろ、争わなかったからこそ、人と協力できたのです。

この話のように、「上善は水の若し」は、何でも相手に合わせればいいという教えではありません。

水のように、必要なときには形を変えながら、自分の進む方向を失わない。

そんな柔軟さを教えてくれているのだと思います。

ことばの起源

「上善は水の若し」は、中国の思想家・老子の書物『老子道徳経』第8章に出てくる言葉です。『老子』は、一般に老子の思想をまとめた古典として知られています。

書き下し文では、

「上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず……」

と続きます。

この章では、水の性質を人の生き方に重ねています。

水は万物に恵みを与えます。

それでいて、他のものと争いません。

そして、人が嫌がる低い場所に自然と流れていきます。

老子は、そんな水の姿を「道」に近いものとして考えました。

日本でも「上善如水」という表現で広く知られています。

ちなみに、原文は「上善若水」で、「若」は「ごとし」と読みます。「上善如水」という表記もよく使われますが、老子の原文では「若水」です。

昔の言葉ですが、今の私たちにも意外と身近な教えですよね。

おすすめ書籍

『図解 老荘思想 トラブルを寄せつけない生き方』(著:齋藤孝)

「上善は水の若し」という言葉を、もう少し深く知りたい人におすすめの一冊です。

老子と荘子の考え方を、図解を使いながらやさしく紹介しています。

「むやみに人と争わない」「しなやかに、自然に生きる」といった考え方が中心なので、今回紹介した「水のように柔軟に生きる」というテーマにもよく合っています。

難しい古典をそのまま読むのではなく、普段の生活にどう生かせるかを考えながら読めるのも魅力です。

まとめ

今回は、老子の言葉、

「上善は水の若し」

をご紹介しました。

意味を簡単にまとめると、

「最高の生き方とは、水のように争わず、柔軟に生きることだ」

という教えです。

何でも人と競争する必要はありません。

自分の考えを持ちながらも、状況に合わせて形を変える。

必要のない争いからは離れる。

そんな生き方も、ひとつの強さではないでしょうか。

人生では、どうしても思い通りにならないことがあります。

そんなときは、無理に流れを変えようとするのではなく、

「水ならどうするだろう?」

と考えてみる。

力を抜いたほうが、かえって前に進めることもあります。

水のように、しなやかに。

無理をしすぎず、自分らしく進んでいきたいですね。

それでは、また次回👋