039【不仁者は以て久しく約に処るべからず】(ふじんしゃはもってひさしくやくにおるべからず)

「この人とは長く一緒にやっていけるかな…?」

人間関係でも仕事でも、こうした直感って案外当たるものですよね。

孔子は、そんな“人と人との約束”や“信頼関係”について、はっきりとした基準を示しています。

今回は、信頼に足る人とはどんな人なのか?

というヒントを与えてくれる論語の一節をご紹介します。

原文と意味

不仁者、不可以久処約、不可以長処楽。
(ふじんしゃは、もってひさしくやくにおるべからず。もってながくらくにおるべからず)

この言葉は『論語』の「里仁りじん」篇に登場します。

意味:

思いやりや誠実さ(仁)を持たない人は、貧しい状態(約)でも長く耐えることができず、
また、豊かな状態(楽)でも長く保つことができない。

たとえ話

ある友人2人が、一緒に事業を始めました。

最初は資金も乏しく、うまくいかない日々が続きます。

Aさんは「困ってる時こそ信頼が大事だよな」と言って、互いに励まし合いながら頑張るタイプ。

Bさんは「こんな貧乏くじ引かされてられない」と文句を言い、やがて相手を責め始めてしまいます。

やがて事業が成功して豊かになっても、Bさんは利益を独り占めしようとし、人間関係は破綻——。

孔子が言いたいのは、「仁(まごころ・思いやり)」がない人は、困っている時にも成功した時にも、その状況に耐える“人間力”がないということです。

背景と孔子の考え方

「仁」とは、儒教における最も重要な徳目のひとつ。

他人への思いやり、誠実さ、信頼、謙虚さ、そういった“人としての温かさ”を含む概念です。

孔子は、物事がうまくいっていないときにも、豊かで幸せなときにも、“人として大事なもの”を持ち続けられるかどうかが、その人の真価だと説いています。

現代への応用

こんな人に出会ったこと、ありませんか?

  • 困っているときだけ頼ってきて、状況が良くなると態度が変わる人
  • チームの成果を自分だけのものにしようとする人
  • ちょっとした損得で関係を切ってしまう人

そういう人は、長く付き合うには向いていない——

孔子の言葉は、

「信頼できる人を見極める一つの基準」

として、現代でもしっかり通用します。

まとめ

「不仁者は以て久しく約に処るべからず」

——思いやりのない人は、貧しさにも豊かさにも耐えられない。

困難なときにも、成功したときにも、変わらず誠実でいられる人こそが本当の“信頼に値する人”

あなたの周りの人、そして自分自身も、そうありたいものですね。