
「この人とは長く一緒にやっていけるかな…?」
人間関係でも仕事でも、こうした直感って案外当たるものですよね。
孔子は、そんな“人と人との約束”や“信頼関係”について、はっきりとした基準を示しています。
今回は、信頼に足る人とはどんな人なのか?
というヒントを与えてくれる論語の一節をご紹介します。
原文と意味
不仁者、不可以久処約、不可以長処楽。
(ふじんしゃは、もってひさしくやくにおるべからず。もってながくらくにおるべからず)
この言葉は『論語』の「里仁」篇に登場します。
意味:
思いやりや誠実さ(仁)を持たない人は、貧しい状態(約)でも長く耐えることができず、
また、豊かな状態(楽)でも長く保つことができない。
たとえ話
ある友人2人が、一緒に事業を始めました。
最初は資金も乏しく、うまくいかない日々が続きます。
Aさんは「困ってる時こそ信頼が大事だよな」と言って、互いに励まし合いながら頑張るタイプ。
Bさんは「こんな貧乏くじ引かされてられない」と文句を言い、やがて相手を責め始めてしまいます。
やがて事業が成功して豊かになっても、Bさんは利益を独り占めしようとし、人間関係は破綻——。
孔子が言いたいのは、「仁(まごころ・思いやり)」がない人は、困っている時にも成功した時にも、その状況に耐える“人間力”がないということです。
背景と孔子の考え方
「仁」とは、儒教における最も重要な徳目のひとつ。
他人への思いやり、誠実さ、信頼、謙虚さ、そういった“人としての温かさ”を含む概念です。
孔子は、物事がうまくいっていないときにも、豊かで幸せなときにも、“人として大事なもの”を持ち続けられるかどうかが、その人の真価だと説いています。
現代への応用
こんな人に出会ったこと、ありませんか?
- 困っているときだけ頼ってきて、状況が良くなると態度が変わる人
- チームの成果を自分だけのものにしようとする人
- ちょっとした損得で関係を切ってしまう人
そういう人は、長く付き合うには向いていない——
孔子の言葉は、
「信頼できる人を見極める一つの基準」
として、現代でもしっかり通用します。
まとめ
「不仁者は以て久しく約に処るべからず」
——思いやりのない人は、貧しさにも豊かさにも耐えられない。
困難なときにも、成功したときにも、変わらず誠実でいられる人こそが本当の“信頼に値する人”。
あなたの周りの人、そして自分自身も、そうありたいものですね。