020【己の欲せざる所、人に施すことなかれ】(おのれのほっせざるところ、ひとにほどこすことなかれ)

「思いやり」はすべての道の“出発点”

人と関わる中で、何が正しいか悩むことってありませんか?

「これは言うべき?黙るべき?」

「自分は気にならないけど、相手はどう感じるだろう?」

そんなとき、孔子のこの言葉は、とてもシンプルで強い指針を与えてくれます。

それが、

おのれほっせざるところひとほどこすことなかれ」

という教えです。

たとえ話

ある日、満員電車の中で、高校生が音楽を大音量で聴いていました。

イヤホンなのに、音がシャカシャカ漏れていて、まわりの乗客はしかめっ面。

でも、その高校生はまったく気づいていない様子。

そんな中、ひとりの乗客がそっと声をかけました。

「もし自分が隣にいたら、気になると思わない?」

高校生はハッとして、「すみません」と音量を下げました。

――これがまさに「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」。

「自分がされたくないことは、他人にもしない」

という、誰にでもわかる思いやりのルールです。

言葉の意味と背景

この言葉は、『論語』の「衛霊公えいれいこう」という篇に登場します。

子貢問しこうとうていわく、一言いちげんにしてもっ終身しゅうしんこれをおこなうべきものありや。子曰しのたわく、じょか。おのれほっせざるところひとほどこすことなかれ

意味は、

「一生守るべきたった一つの教えがあるとすれば、それは“恕(じょ)=思いやり”だ。自分がされて嫌なことは、人にしてはいけない」

ということ。

まとめ

何かに迷ったとき、

「それを自分がされたらどう思うか?」

と一度立ち止まって考える。

それだけで、人間関係はぐっとやさしく、あたたかいものになります。

思いやりは結果ではなく、出発点。

知識や経験を積むほど、人は複雑に考えたくなるけれど、最後に戻るのはこの一行。

「己の欲せざる所、人に施すことなかれ。」

難しい時代ほど、こんなシンプルな原点が強い力を持ちます。