「人に厳しく、自分に甘く」の逆を行くと、人生がうまくいく?
日々の生活の中で、ついこんなことを思ってしまうこと、ありませんか?
「なんであの人、ちゃんとやらないの?」
「自分は頑張ってるのに…」
でも、もし自分のことをもっと厳しく見つめて、
人にはもう少し優しくできたら――
人間関係って、もっとスムーズになるかもしれません。
そんな大事な心構えを教えてくれるのが、今回ご紹介する論語の言葉:
「躬自ら厚くして、人を責むること薄くすれば、怨み無し」
です。
たとえ話:掃除当番の二人
ある学校で、掃除当番のグループがありました。
Aさんは、他の人が少しでも手を抜くとすぐに「なんでちゃんとやらないの!」と怒ります。自分の仕事ぶりは見せびらかすようにアピールします。
Bさんは、自分の分担以外のゴミもさりげなく拾いながら、誰かがやり忘れても怒らず、「今日は忙しかったのかな」と受け流します。
やがて、Aさんは周囲から避けられ、Bさんは自然と信頼されるようになりました。
人は「自分に厳しく、他人には寛容」な人を、心から尊敬するのです。
言葉の意味と背景
この言葉は『論語』の「衛霊公(えいれいこう)」篇に登場します。
子曰、躬自厚而薄責於人、則無怨矣。
(しのたまわく、みずからあつくして、ひとをせむることうすくすれば、うらみなし)
意味は、
「自分に対しては厳しく、他人を責めることは控えめにすれば、怨まれることはない」
ということ。
ここでいう「厚くする」とは、「しっかりと負担する」「自分に対して厳しくある」という意味。
反対に「薄くする」は、「軽く扱う」「あまり責めない」という意味になります。
孔子は、他人の過ちよりもまず自分の行いを正すことこそが、
人とのトラブルや不信感を避ける近道だと教えています。
まとめ:まず、自分の足元を照らそう
現代社会でも、誰かのミスや足りない部分ばかりが目につきがちです。
でも、まずは自分自身をしっかり見つめ、努力を重ねること。
そして、他人に対しては「寛容」であること。
このバランスこそが、信頼される人になるための秘訣です。
「自分には厳しく、人には優しく」――それが、怨まれず、愛される人の共通点なのかもしれません。