〜正義を重んじる人は、口にすることにも誠実である〜
「この人の言うことなら信じられる」
そんなふうに思える人、あなたの周りにいますか?
今回は、**“正義を大切にする人ほど、言葉に責任を持つ”**という、孔子の一節をご紹介します。
【出典と意味】
この言葉は『論語』の「衛霊公(えいれいこう)」篇に登場します。
義を好む者は、其の言必ず信(ぎをこのむものは、そのことば かならずしん)。
現代語訳すると、
正しいこと(義)を好む人は、言葉にも誠実である。
つまり、
「正義感のある人」は、言うことにも責任を持ち、嘘やごまかしをしないという意味です。
ここでの「義(ぎ)」は、“人として正しいこと”、“道理にかなった行い”のこと。
「信(しん)」は、“誠実で信頼できること”を意味します。
【たとえ話でイメージしてみよう】
たとえば「職人の親方」
ある木工所の親方は、昔から「仕事は誠実に、約束は守る」が信条。
納期も品質も決してごまかさず、「無理です」とも正直に伝えるタイプ。
一方、別の職人は口ではうまく取り繕うが、納期を守らず品質もバラバラ。
お客さんたちは自然と、前者の親方を選び続けました。
「あの人が言うなら間違いない」――信頼は、誠実な言葉の積み重ねから生まれるのです。
【孔子がこの言葉を語った背景】
孔子は「仁」「義」「礼」「智」「信」という五つの徳を重視しましたが、
この中でも「義」と「信」は、人と人との関係を支える根本とされていました。
つまり、**「正しいことを貫く人は、自然と信頼される言葉を話すようになる」**という教え。
逆に言えば、どんなに言葉巧みに語っても、行いがズレていれば信頼されないということです。
【現代への応用】
この教えは、現代の仕事や人間関係にも深く通じています。
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「義」を持って行動する → 「この人の話は信用できる」と評価される
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ごまかしや口先だけ → 一度でも信頼を失えば取り戻すのは難しい
たとえば、上司・部下の関係でも、
「部下の意見をきちんと聞く」「言ったことを守る」上司のもとには、自然と信頼が集まります。
【まとめ】
【義を好む者は、其の言必ず信】は、
**“正しいことを大切にする人は、言葉にも誠実さがにじみ出る”**という、孔子の教えです。
人を信じるのが難しい時代だからこそ、
自分自身が「信じてもらえる人間であるか」を、まず見つめ直してみたいですね。
正義感は、態度や言葉に現れます。
「義をもって生きる人」こそ、誰からも信頼される人になれるのです。