044【敬して失うこと勿れ】(けいしてうしなうことなかれ)

こんにちは!

今回は、人間関係において「尊敬」と「距離感」のバランスを考えさせられる、孔子の名言をご紹介します。

あなたは、誰かを尊敬するあまり、緊張しすぎてうまく接することができなかった経験、ありませんか?

あるいは、尊敬の気持ちはあっても、その人と関係を築くのが難しいと感じたことは?

孔子はそんなとき、こう言っています。

今回の言葉

けいしてうしなうことなかれ」

意味:人を敬うことは大切だが、相手との関係を壊してしまってはいけない。

尊敬しつつも、関係を保てるように心がけなさい。

つまり、「敬意を持つこと」と「適切な距離感」はセットで考えるべきだ、という教えです。

たとえ話

■ 新入社員とベテラン課長の話

ある会社に、仕事ができて人望も厚いベテラン課長がいました。

新入社員の田中くんはその課長をとても尊敬していて、話しかけるのも恐れ多く感じていました。

毎日、挨拶はするけど、会話はほとんどゼロ。

課長の話をメモするだけで、自分の意見や質問もできずに、ただ「すごいなぁ」と眺めるだけ。

ある日、課長は田中くんに言いました。

「君、私のこと避けてる? もっと気楽に話してくれていいんだよ」

田中くんはハッとしました。

尊敬するあまり、逆に関係を遠ざけてしまっていたのです。

これはまさに「敬して失うこと勿れ」の教訓そのものですね。

出典と背景

この言葉は『論語』の「学而篇がくじへん」に登場します。

孔子が、礼儀や人間関係の“ちょうどいい距離”について語った章のひとつです。

孔子は、人を敬うことを大切にしていましたが、「敬いすぎてかえって付き合えなくなる」のは本末転倒だとも考えていました。

敬意があるからこそ、ちゃんと向き合って話す、意見を交わす。

そうした人と人との真の関係性を大事にしていたのです。

現代にどう活かせる?

現代社会でも、この言葉は様々な場面で役立ちます。

  • 目上の人に対して緊張して何も言えなくなる
  • 尊敬しているからこそ、必要な指摘や相談ができない
  • 憧れの存在を“遠すぎる存在”にしてしまう

こんなとき、「敬して失うこと勿れ」を思い出してみてください。

大切なのは、敬うことと、つながることを両立する姿勢です。

おわりに

人間関係は、敬うだけでもダメ、なれなれしすぎてもダメ。

大事なのは「相手を大切にしながら、ちゃんと向き合うこと」。

孔子のこの言葉は、「尊敬」を一方通行にしないためのヒントをくれます。

尊敬は、“距離”ではなく“つながり”をつくるものである。

あなたが尊敬しているあの人とも、もっと自然に関われる日がくるかもしれませんね。

次回も、論語の中から人間関係や自己成長に役立つ言葉をご紹介します。

ぜひ、ブログのシリーズとしてチェックしてみてくださいね!