兵は詭道なり|戦いでは相手に本当の狙いを悟らせない

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こんにちは!

今回紹介することばは、古代中国の兵法書『孫子』に出てくる有名な一節、

「兵は詭道なり」

です。

読み方は、

「兵(へい)は詭道(きどう)なり」

です。

短いことばですが、意味を知ると「なるほど」と思わされます。

今回は、このことばが生まれた背景を紹介しながら、日常生活にも当てはめて、たとえ話を交えながら解説します。

ことばの意味

「兵は詭道なり」とは、

戦いでは、相手に本当の意図を悟らせず、状況に応じて相手の予想を外していくことが大切だ

という意味です。

「詭(き)」には、いつわる、だます、相手の意表を突く、といった意味があります。

つまり、単純に「相手をだませ」という話ではありません。

孫子が大切にしているのは、自分の本当の力や目的、行動を相手に簡単に読ませないことです。

このあと孫子は、

「能なるもこれに不能を示し」

つまり、実力があっても、相手には実力がないように見せるなど、相手に自分の本当の力を悟らせないようにするということです。

「近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示す」

つまり、近くにいても遠くにいるように見せ、遠くにいても近くにいるように見せるなど、相手に自分の本当の意図や状況を簡単に読ませないようにします。

といった具体例を挙げています。

現代の生活に置き換えると、

「何でも正直に全部話せばいい」

とは限らない、ということです。

仕事でも人間関係でも、自分の考えをすべて相手に見せてしまうと、相手から先回りされることがあります。

逆に、必要なことだけを伝え、あえて手の内を見せないことで、自分にとって有利な状況をつくれることがあります。

もちろん、これは「人をだましてもいい」という意味ではありません。

相手に振り回されず、自分のペースを守るための知恵

と考えると、現代でも理解しやすいでしょう。

たとえ話

ここで、仕事の場面を考えてみましょう。

登場人物は、営業部の山田さんと佐藤さんです。

二人は同じ会社で働いていますが、今回は同じ取引先を担当することになりました。

山田さんは、とにかく一生懸命な人です。

「この商品を絶対に売りたい!」

そう考えて、商品の特徴や自分の考えを取引先にどんどん説明します。

一方、佐藤さんは少し違います。

最初から自分の提案を全部話すことはしません。

まず相手の話を聞きます。

「今、一番困っていることは何ですか?」

「現在の方法で不満に感じているところはありますか?」

そんな質問をしながら、相手が何を求めているのかを探っていきます。

そして、相手の話を聞いたうえで、最後に必要な提案だけを出します。

結果として、取引先から高く評価されたのは佐藤さんでした。

山田さんは「自分の商品の良さ」を最初から伝えました。

佐藤さんは、まず相手の話を聞き、自分の提案を出すタイミングを選びました。

この二人の違いは、単純な営業力だけではありません。

自分の考えを先に全部出すのか、それとも相手の動きを見ながら、あえて手の内を見せずに行動するのか。

ここに大きな違いがあります。

この話のように、「兵は詭道なり」は、相手をだますためだけのことばではありません。

相手の予想どおりに動かないこと。自分の手の内を簡単には見せないこと。

そして、状況を見ながら有利な方法を選ぶこと。

これが「詭道」の考え方です。

ことばの起源

「兵は詭道なり」は、古代中国の兵法書『孫子』に登場します。

『孫子』は、兵法家・孫武の著作とされる書物で、全十三篇から構成されています。

「兵は詭道なり」は、その第一篇である「計篇」に収められています。現在では「始計篇」と呼ばれることもあります。

この篇では、いきなり「だまして勝て」と言っているわけではありません。

その前に、

「兵とは国の大事なり」

と述べています。

つまり、戦争は国の存亡や人々の生死に関わる重大なものだから、始める前にしっかり考えなければならない、というところから話が始まります。

そのうえで、

「相手と自分を比較する」

「状況を見極める」

「相手にこちらの意図を悟らせない」

といった考え方が続いていきます。

ですから、「兵は詭道なり」だけを取り出して、

「孫子は、だまして勝てと言っている」

と理解すると、少し違ってきます。

本来は、戦いを始める前に状況を冷静に分析し、正面から力をぶつけるだけではなく、相手の心理や状況まで考えて勝つ。

そんな戦略的な考え方の中に、このことばがあります。

そして『孫子』は、日本にも古くから伝わり、武将や軍略を学ぶ人々などに読まれてきました。

現代では戦争だけでなく、仕事や経営、人間関係など、さまざまな場面に応用できる考え方として紹介されています。

おすすめ書籍

『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる 最強の心理戦略』(著:内藤誼人)

相手の心理を読み、状況を見ながら自分に有利な展開をつくる「心理戦」を、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の場面を題材にして分かりやすく解説した一冊です。

「兵は詭道なり」と同じく、単純に力で勝負するのではなく、相手の考えを読み、意表を突き、状況を利用することの大切さが学べます。

仕事や人間関係での駆け引きにも応用できる内容なので、孫子の考え方を現代の身近な場面に置き換えて理解したい方にもおすすめです。

まとめ

今回は、

「兵は詭道なり」

という孫子のことばを紹介しました。

意味を簡単にまとめると、

「戦いでは、相手に自分の本当の意図を悟らせず、状況に応じて相手の予想を外していくことが大切だ」

ということです。

私たちの日常でも、何でも正面からぶつかればいいとは限りません。

仕事でも人間関係でも、相手の出方を見ながら、自分の手の内をすべて見せず、状況に応じて行動を変える。

そんな柔軟さが、自分を守り、物事を有利に進める力になることがあります。

「正直であること」と「何でもすべて話すこと」は、同じではありません。

ときには一歩引いて相手や状況を観察する。

それも、長く人生を歩んできたからこそ身につけられる、大切な知恵なのかもしれません。

それでは、また次回👋