
「どうして人って性格がちがうんだろう?」
こんな疑問を、一度は考えたことがあると思います。
そのヒントをくれたのが、スイス生まれの心理学者 カール・グスタフ・ユング です。
彼は“性格タイプ”という考え方をつくり、人の心のクセをわかりやすく整理しました。
気難しい学者…
と思いきや、発想が自由で、かなり個性的な人でもあります。
今回は、そんなユングの生涯と魅力をわかりやすく紹介します。
ユングの生涯①|子ども時代に心の世界へ興味を持ちます
ユングは1875年、スイスの小さな町で牧師の家に生まれます。
静かな環境で、自然と向き合いながら育った少年は、早くから“人の心”に強い関心を持ちます。
内気で空想好きなタイプで、大人が気にしない細かなニュアンスに敏感でした。
家の中で聞こえる言い争いや、学校でのちょっとした空気の変化にも心が反応します。
そんな自分自身の感覚を「これはなんだろう」と観察するうちに、心の仕組みを深く考えるクセが育ちます。
彼は周囲の期待よりも、自分の内側で起きる感情やイメージを重視しました。
この独特の気質が、後の“心理学の巨人”ユングを形づくります。
ユングの生涯②|フロイトとの出会いで才能が開花します
青年となったユングは医学を学び、心の病を研究する道に進みます。
そこで彼は、当時すでに有名だった精神分析の創始者フロイトと出会います。
二人はすぐに意気投合し、まるで親友のように熱く語り合います。
ユングは鋭い観察力と柔らかい発想で、フロイトの理論を大きく前進させました。
しかし次第に、二人の考え方に“ズレ”が生まれます。
フロイトは無意識を「欲望」で説明しようとしますが、ユングは「もっと広くて深い世界がある」と考えます。
やがて二人は決裂し、ユングは独自の道を歩む決意を固めます。
この別れはつらい出来事でしたが、彼を“ユング心理学”へと導くターニングポイントになります。
ユングの生涯③|独自の理論を築き、性格診断の土台を作ります
決裂後のユングは、自分の心と向き合うために長い旅へ出ます。
彼は神話や宗教、夢の象徴、世界中の文化を調べ、心の奥には“共通するパターン”があると気づきます。
これが有名な「集合的無意識」という考えです。
さらに、人の性格には方向性の違いがあると考え、「外向」「内向」という概念を提案します。
今のMBTIや性格診断の原型ともいえるアイデアです。
彼の理論は難しそうに見えますが、根っこにあるのは「人の心っておもしろい」という素朴な好奇心でした。
自由な発想と観察力によって、ユングは“心の地図”をつくった人物として語り継がれます。
まとめ
ユングは、内気で感受性の強い少年からスタートし、世界中の心の研究へ挑戦した人物です。
自分の感じたことを大切にし、そこから深い理論をまとめた点が大きな魅力です。
彼の考えは性格診断にも受け継がれ、今も多くの人の悩みや気づきに役立ちます。
「人の心には発見がある」
ユングは、その楽しさを教えてくれる存在です。

