088【道を行うに非ざれば、行わず】 (みちを おこなう に あらざれば、おこなわず)

正しくないと思ったら、たとえ得でもやらない。それが信念。

こんにちは!今回ご紹介する論語の言葉は、「ブレない生き方」についてです。
現代の情報社会や選択の多い時代において、とても大切な価値観を教えてくれる一言です。

「道を行うに非ざれば、行わず」
(みちを おこなう に あらざれば、おこなわず)


意味をやさしく言うと?

この言葉は、

「正しい道にかなっていないことなら、たとえ損得があっても自分は行動しない」

という、強い倫理観と自己コントロールの表れです。

「周りがやってるから」「得になるから」ではなく、
「それが“道(人として正しい行い)”にかなっているか」で判断するという姿勢。


たとえ話でイメージしてみよう

ある日、Aさんは会社の内部情報を使えば株で儲けられるという話を耳にします。
法律ギリギリのラインで、バレなければ問題にならないかもしれない。

でもそのとき、Aさんは心に問いかけます。

「それって本当に正しいこと?」

そして彼は、利益を捨ててでも、その話には乗らない決断をします。

彼の中にあるのは「自分の信じる“道”から外れることはしない」という強さ。
これこそが、**孔子の教えた“君子の姿勢”**なのです。


背景:孔子の「道」とは?

孔子がいう「道」とは、単に“正解”という意味ではなく、
人としての正しさ、礼儀、思いやり、誠実さをもとにした生き方の指針です。

当時の中国でも、権力や利益のために不正をする人が少なくなかった中で、
孔子はこう言い切りました。

「正しくない道に乗っかって行動するなら、それはもう“正しい生き方”じゃない」

このブレなさが、孔子が「道徳の先生」と呼ばれるゆえんなのです。


現代の私たちにできること

現代は、情報も選択肢も多くて「どれが正しいの?」と迷うことがよくあります。

でも、もし何かに心がざわついたら――
「これは自分の信じる“道”にかなっているか?」と問いかけてみてください。

  • 自分だけが得するけど、誰かを傷つけていないか?

  • 見て見ぬふりをして、自分をだましていないか?

  • 「本当はこうしたほうがいい」と思いながら、流されていないか?

孔子は「たとえ遠回りになっても、道にかなった行動をすることが、最終的には人を幸せにする」と伝えています。


おわりに

「道を行うに非ざれば、行わず」
この言葉は、自分の中に一本の芯を持って生きるためのヒントです。

正しさを貫くには勇気がいります。
でも、自分の信じる道を歩んでこそ、後悔のない人生になるのかもしれません。

小さな選択にも、この言葉をそっと忍ばせておくと、ブレずに歩いていけそうですね。