
スマホ、パソコン、家電、自動車、ゲーム機。
今の生活を支えてる“影の親分”が半導体。
この小さなチップがなかったら、僕らの生活は一気に昭和に逆戻りするレベル。
でもね、半導体の歴史って、実は「偶然→挑戦→大発明→世界が激変」の連続。
人間ドラマとライバル関係、ちょっとしたおもしろ事件まで、めちゃくちゃ味のある物語なのよ。
半導体の歴史:ゼロから始まる“電子の旅”
半導体の物語は19世紀にさかのぼる。
当時は「電気ってなに?」がようやくわかり始めた時代。
そこで最初のキーマンが登場する。
19世紀:ベルの研究者、ドイツ人の物理学者たちが“謎の物質”に気づく
最初に半導体の性質に気づいたのは、信号機でもパソコンでもない。
「鉱石ラジオ」。
電池も電源もいらず、鉱石にアンテナをつけただけなのに、なぜかラジオが聴けた。
人々はこう思った。
え?なんで石が電気のスイッチになるの?
実はこれこそが半導体の原点。
この“石の不思議パワー”を本気で研究し始めたことで、未来への扉が開いた。
1947年:世界が変わる「トランジスタ」の誕生
ここで半導体史の最大のスター登場。
ベル研究所の3人──ショックレー、バーディーン、ブラッテン。
彼らが発明したのが トランジスタ。
そもそもトランジスタって、半導体を使って作られた“電気のスイッチ”の親玉みたいな部品なんです。
これが世界をとんでもなく変えた。
なぜすごいの?
- 真空管よりめちゃくちゃ小さい
- 熱くなりにくい
- 壊れにくい
- 大量生産しやすい
“電子のスイッチ” が劇的に小さくなったことで、
コンピュータが冷蔵庫サイズから、ついに机の上に乗るところまで縮んでいった。
ちなみに、ショックレーは天才だけど性格がかなりピーキー。
彼のクセの強さが、後に“シリコンバレー”誕生の火種になったのは有名な話。
■ 1959年:IC(集積回路)が爆誕
トランジスタができて「やったぜ!」と思ったのも束の間。
技術者たちは気づく。
これ、もっとまとめて入れたらよくない?
そこで IC(集積回路) が生まれる。
これがまた革命級。
ひとつの小さなチップに、何百・何千という電子回路をギュッとまとめられるように。
これにより、
- 電卓
- 腕時計
- ゲーム
- パソコン
全部が実現できるようになる。
ここから半導体の“縮小スピード”が加速していく。
1970〜90年代:日本の半導体が世界を制覇
日本が最強だった黄金期。
NEC、東芝、日立、富士通。
とにかく強かった。
「メイド・イン・ジャパン」が世界のトップ。
特に DRAM(メモリ) は世界シェアのほとんどを日本が取っていた。
でも、アメリカの圧力、韓国台湾の台頭、円高などが重なり、日本の独走は終わっていく。
とはいえ、設備、材料、製造装置などは今も日本が世界トップクラス。
“縁の下の力持ち”として、今も世界を支えてる。
2000年代〜現在:世界が奪い合う「国家レベルの戦略物資」に
スマホ、AI、EV、自動運転。
全部が半導体で動く。
だから、半導体は今や“石油以上に重要”と言われる。
世界中が「うちで作りたい!」と奪い合っているレベル。
特に強いのが台湾の半導体メーカー(TSMC)。
世界中の超高性能チップの多くをここが作っている。
そして今、半導体はAIブームでさらに重要に。
AIに必須のNVIDIA製チップ(超高速で計算できるパーツ)は人気がありすぎて、世界中の企業が“取り合い”になるほど。
半導体のちょっとおもしろエピソード
① 世界初のトランジスタは「見た目がめっちゃダサかった」
金属やワイヤーが雑に刺さっていて、
まるで理科の実験の途中みたいな形。
「これが世界を変えるの?」と研究者が笑ったらしい。
② 70年代の技術者は“髪型がみんな長い”
アメリカの技術者写真を見ると、みんなロン毛かアフロ。
「長髪のエンジニアが世界を変えた」とまで言われている。
③ 半導体の縮小スピードを「ムーアの法則」と言う
インテルのムーアが予測した“集積度は約2年で2倍”。
これ、予言みたいに長年当たり続けた。
技術者たちの合言葉だった。
まとめ:小さなチップは、これからも未来をつくる
半導体の歴史は、
「偶然の発見」から始まって、
「天才たちの挑戦」、
「国家レベルの巨大ビジネス」へと成長してきた。
いま僕たちの生活、仕事、趣味、すべてが半導体に支えられている。
そしてこれからも、AI、自動運転、ロボットなど、
未来を動かす“心臓”であり続ける。
半導体は小さいけど、
人類の未来を握っている“超巨大な存在”。
その歴史は、これからも続いていく。

