098【発奮興起】悔しさが、やる気に火をつける瞬間

人生には、何度だって「やり直し」のチャンスがあります。
でも、それをつかめるかどうかは、自分の中にある“火”をどう扱えるかにかかっています。

今回ご紹介する四字熟語「発奮興起(はっぷんこうき)」は、
そんなくすぶっていた気持ちに火がついて、立ち上がる瞬間を表す言葉です。


発奮興起とは?

**発奮興起(はっぷんこうき)**とは、

悔しさや怒りをきっかけに気持ちを奮い立たせ、行動を起こすこと

を意味します。

  • 「発奮」…ふんばる、やる気を出す

  • 「興起」…奮い立って動き出す

つまり、「くやしさをバネにして、もう一度立ち上がる!」という前向きな言葉です。


たとえ話でわかる「発奮興起」

サクラは、大学受験で第一志望の合格を逃しました。
毎日遅くまで勉強したけれど、あと少し届かなかった。

「もう1年やるなんてムリかも…」
そう思った日もありました。

でも、ある日落ちた大学のキャンパスを通りかかったとき、
中で生き生きと学ぶ学生たちを見て、胸が熱くなりました。

「やっぱり、私はここに通いたい」

その瞬間、サクラの中で“何か”が目覚めました。
翌日から、彼女は参考書を広げ、またペンを握りました。

――それが「発奮興起」。

くやしさが、再び前へと進む原動力になったのです。


発奮興起の起源

この四字熟語は、中国の古典『後漢書』の中に登場します。

書中では、ある人物が「自分の能力を発揮できない悔しさ」から奮い立ち、
再び学問に打ち込む姿を通して、「悔しさこそが人を成長させる」ということが語られています。

古くから、「悔しさ=エネルギー」として見なされていたことがわかります。


現代での使い方

  • 試験や挑戦に失敗して、そこからやる気を出して再挑戦するとき

  • 失敗や敗北をきっかけに一念発起した場面

  • 自分を変えたいと強く思い、行動を始めたとき

などにぴったりです。

たとえば、

「面接に落ちた悔しさが、彼の発奮興起のきっかけになった」
「彼女は落ち込んだ末に発奮興起し、資格取得に向けて猛勉強を始めた」

といった風に、“気持ちを切り替えて立ち上がった”場面でよく使われます。


まとめ:きっかけは“悔しさ”でもいい

「発奮興起」は、はじめからポジティブな気持ちじゃなくていいんです。
くやしさ・怒り・情けなさ――それを燃料にして動き出すことこそが、美しい

もしあなたが今、うまくいかずに落ち込んでいるなら、
それは新しいスタートを切る“直前”かもしれません。

火は、内からしか起きません。
でも一度つけば、きっとあなたを大きく動かしてくれます。