068【磨斧作針】“できない”を“できる”に変える、粘り強さの物語

「自分には向いてないかもしれない」

「才能がないからムリだよ」

そんな風に、何かを始めてもすぐにあきらめてしまいそうになる時って、ありませんか?

でも、どんなに不器用でも、あきらめずに続ける人が最後には道を切り開く

今日ご紹介する四字熟語、磨斧作針まふさくしんは、そんなあなたの背中をそっと押してくれる言葉です。

たとえ話

ある小学校に、漢字がまったく書けない少年がいました。

手先が不器用で、字はぐちゃぐちゃ。

先生にも「もう少し丁寧に」と注意される毎日。

でも彼には夢がありました。

「将来、小説家になりたい」

字を書くことが苦手でも、毎日ノートに1ページずつ日記を書くようにしました。

最初は読めないほど下手な字だったのに、1年後には周りが驚くほどの美しい文字に。

努力を重ねた結果、彼は作文コンクールで最優秀賞を受賞。

誰もが「才能があったんだ」と言ったけれど――

実は彼がやっていたのは、まさに「磨斧作針まふさくしん」の姿だったのです。

意味と読み方

磨斧作針まふさくしんとは、

おのを磨いて、針を作るような気の遠くなる努力を重ねること」。

つまり、どんなに困難なことでも、地道な努力を続ければやがて成し遂げられるという意味です。

  • 「磨斧」=斧を磨く
  • 「作針」=それを針にする(細く、鋭く削る)

針のように細いものを、斧のようにごついものから作るなんて、普通は無理に思えますよね。

でも、それを本当にやってのけようとするのが、この言葉のすごさなんです。

起源・由来

この四字熟語の元になっているのは、中国唐代の詩人李白りはくの有名なエピソードです。

李白がまだ若い頃、勉学に飽きて家に戻る途中、ある老女に出会います。

彼女は、なんと斧を石にこすりつけて針を作ろうとしていたのです。

驚いた李白が理由を尋ねると、老女はこう答えました。

「たとえ斧でも、磨き続ければ細くなり、やがて針になる」

この一言に心を打たれた李白は、再び勉強に励み、やがて中国文学史に名を残す大詩人となったのでした。

現代での使い方

  • 「パソコン苦手だけど、毎日30分ずつ触ってたら磨斧作針で慣れてきた」
  • 「彼は才能があったわけじゃないけど、磨斧作針の努力でプロになった」
  • 「語学は磨斧作針の世界。日々の積み重ねが大切」

“何かを極める”というよりも、「努力すればできないこともできるようになる」という、挑戦の第一歩を後押しする言葉です。

まとめ

「磨斧作針」は、まさに“努力の代名詞”ともいえる言葉。

すぐに結果が出なくてもいい。

人より遅くても構わない。

続けることこそが、あなたを変えていく。

斧だって、磨き続ければ針になる。

だったら、あなたの夢も、叶わないわけがないですよね。