068【磨斧作針】“できない”を“できる”に変える、粘り強さの物語

「自分には向いてないかもしれない」
「才能がないからムリだよ」

そんな風に、何かを始めてもすぐにあきらめてしまいそうになる時って、ありませんか?
でも、どんなに不器用でも、あきらめずに続ける人が最後には道を切り開く

今日ご紹介する四字熟語、**「磨斧作針(まふさくしん)」**は、そんなあなたの背中をそっと押してくれる言葉です。


◆ たとえ話:鉛筆すら握れなかった少年

ある小学校に、漢字がまったく書けない少年がいました。
手先が不器用で、字はぐちゃぐちゃ。先生にも「もう少し丁寧に」と注意される毎日。

でも彼には夢がありました。
「将来、小説家になりたい」。

字を書くことが苦手でも、毎日ノートに1ページずつ日記を書くようにしました。
最初は読めないほど下手な字だったのに、1年後には周りが驚くほどの美しい文字に。

努力を重ねた結果、彼は作文コンクールで最優秀賞を受賞。
誰もが「才能があったんだ」と言ったけれど――
実は彼がやっていたのは、まさに**「磨斧作針」**の姿だったのです。


◆ 意味と読み方

**磨斧作針(まふさくしん)**とは、
「斧(おの)を磨いて、針を作るような気の遠くなる努力を重ねること」。
つまり、どんなに困難なことでも、地道な努力を続ければやがて成し遂げられるという意味です。

  • 「磨斧」=斧を磨く

  • 「作針」=それを針にする(細く、鋭く削る)

針のように細いものを、斧のようにごついものから作るなんて、普通は無理に思えますよね。
でも、それを本当にやってのけようとするのが、この言葉のすごさなんです。


◆ 起源・由来

この四字熟語の元になっているのは、中国唐代の詩人**李白(りはく)**の有名なエピソードです。

李白がまだ若い頃、勉学に飽きて家に戻る途中、ある老女に出会います。
彼女は、なんと斧を石にこすりつけて針を作ろうとしていたのです。

驚いた李白が理由を尋ねると、老女はこう答えました。

「たとえ斧でも、磨き続ければ細くなり、やがて針になる」

この一言に心を打たれた李白は、再び勉強に励み、やがて中国文学史に名を残す大詩人となったのでした。


◆ 現代での使い方

  • 「パソコン苦手だけど、毎日30分ずつ触ってたら磨斧作針で慣れてきた」

  • 「彼は才能があったわけじゃないけど、磨斧作針の努力でプロになった」

  • 「語学は磨斧作針の世界。日々の積み重ねが大切」

“何かを極める”というよりも、**「努力すればできないこともできるようになる」**という、挑戦の第一歩を後押しする言葉です。


◆ まとめ

「磨斧作針」は、まさに“努力の代名詞”ともいえる言葉。

すぐに結果が出なくてもいい。
人より遅くても構わない。
続けることこそが、あなたを変えていく。

斧だって、磨き続ければ針になる。
だったら、あなたの夢も、叶わないわけがないですよね。