表面は静かで冷静。
でもその瞳の奥には、燃えるような闘志が潜んでいる。
焦らず、騒がず、チャンスが来るその瞬間を逃さないために――じっと狙いを定める。
そんな姿勢を一言で表すのが、今回の四字熟語**「虎視眈々(こしたんたん)」**です。
◆ たとえ話:転職を狙う“静かな野心家”タケシ
タケシは、今の会社に不満はないけれど、もっと上を目指したいと考えていました。
でも、いきなり辞めて飛び出すのは無謀すぎる。
そこで彼は考えました。
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毎日1時間、業界研究
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資格も一つずつ取得
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人脈づくりも少しずつ
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転職市場の動向を静かに観察
そして半年後――業界再編のニュースが流れ、ある企業のポストが空席になることを知ります。
すぐに動いたタケシは、完璧な準備でチャンスをつかみ、念願のポジションを獲得。
まさに、“虎視眈々”と好機を狙い続けた結果だったのです。
◆ 意味と読み方
**虎視眈々(こしたんたん)**とは、
「虎が獲物を狙うように、じっと鋭い目で機会をうかがっている様子」を意味します。
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「虎視」=虎の鋭いまなざしで見ること
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「眈々」=じっと油断なく見つめている様子
つまり、**「好機を狙って、静かにかつ鋭くチャンスを待つ」**というニュアンスがあります。
◆ 起源・由来
この言葉は、中国の古典『晋書(しんじょ)』に由来します。
魏・呉・蜀の三国時代が終わり、晋の時代に入った頃――
周囲の国々が、晋の内政の隙をついて攻め込もうと、虎のような目つきでじっと狙っていたことから、この表現が生まれました。
それ以来、「虎視眈々」は、狙っているけれど決して軽率に動かず、好機が来たら一気に仕掛ける姿勢を象徴する言葉として使われてきました。
◆ 現代での使い方
現代では、ポジティブにもネガティブにも使われます。
🔹 ポジティブな使い方(戦略的な準備を褒める)
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「あの選手は虎視眈々とチャンスを狙っている」
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「虎視眈々と転職のタイミングを見計らっていた彼が、ついに動いた」
🔹 ネガティブな使い方(人の失敗を狙う)
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「彼は上司の失脚を虎視眈々と狙っているようだ」
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「内部抗争の中、幹部の座を虎視眈々と狙う者がいる」
どちらにせよ、**“油断のならない、準備された眼差し”**がキーワードです。
◆ まとめ
虎視眈々とは、
ただ目の前のことに振り回されるのではなく、
**「今じゃない、でも“その時”が来たら絶対に掴む」**という戦略的な姿勢を表します。
周囲が動揺しているときほど、自分の視野を広げ、冷静にチャンスを探る――
それがまさに虎のような生き方。
あなたの中にも、虎の目を宿してみませんか?