064【尽心尽力】“心”も“力”も、ぜんぶ込めて生きていく

「どうしてここまでやれるの?」
誰かが全力で取り組んでいる姿を見たとき、ふとそう思うことってありませんか?

その人が報酬や見返りを求めているわけじゃないと気づいたとき、きっとこう感じるはずです。
「この人、本当に心から動いてるんだな」って。

そんな“本気の姿勢”を表す言葉が、今回の四字熟語です。
「尽心尽力(じんしんじんりょく)」――心も力も惜しまず尽くす、その生き様を表します。


◆ たとえ話:町の小さな図書館の司書さん

ある小さな町に、一人のベテラン司書・石井さんがいました。
古くなった図書館で働きながら、誰よりも丁寧に本の整理をし、子どもたちに読み聞かせをし、年配の利用者の話にも耳を傾ける毎日。

館の改装話が持ち上がったとき、行政側は閉館を検討していました。
「利用者も減ってるし、時代に合わない施設かも…」

そのとき、町中の子どもたちや住民が立ち上がり、署名活動が始まったのです。
理由は一つ。
「石井さんのいる図書館が大好きだから」

彼女がしていたのは、ただの“業務”じゃなかった。
そこには、心を尽くし、力を尽くした日々の積み重ねがあったのです。

これこそまさに、「尽心尽力」という言葉の真の意味を表している姿です。


◆ 意味と読み方

**尽心尽力(じんしんじんりょく)**とは、
心のすべてと、体の力すべてを尽くして物事に当たること」を意味します。

  • 「尽心」=心を尽くす。誠意を込める。

  • 「尽力」=力を尽くす。できる限りの努力をする。

この言葉は、「他人のため」「大切な目的のため」に全力を注ぐときに使われます。
単に“頑張る”のではなく、“心も込める”ところがポイントです。


◆ 起源について

この言葉の起源は、中国の古典に見られます。

たとえば儒教において、「尽心(じんしん)」という言葉は『孟子(もうし)』にも登場し、
「人として誠実に、正しいことに心を尽くす」ことが理想の生き方とされていました。

そこに「尽力(じんりょく)」という言葉を組み合わせることで、
**“精神的にも肉体的にも、全力を注ぐ姿”**を強調した言葉として定着していったのです。


◆ 日常でどう使う?

「尽心尽力」は、仕事のシーンだけでなく、家族や友人との関係でも使える言葉です。

たとえばこんな場面で使えます:

  • プロジェクトを成功させるため、尽心尽力した。

  • 家族の介護に尽心尽力している。

  • チームのために尽心尽力する姿勢に感動した。

「ここまでやってくれるんだ…」と、周りの人に伝わるほどの誠意と努力。それを短く言い表すのが、この言葉です。


◆ まとめ

「尽心尽力」とは、心と力のすべてを注いで、一つのことに打ち込むこと

見返りを求めるのではなく、誰かのため、何かのために“本気”で向き合う――
そんな姿勢は、周囲の人の心を動かし、信頼を築きます。

あなたのその行動、誰かの心にちゃんと届いているかもしれません。
「尽心尽力」という言葉が、今日も誰かの背中を押してくれますように。