順風満帆な人生なんて、実はほとんど存在しないのかもしれません。
突然の病気、仕事のトラブル、人間関係の悩み……思いもよらぬ困難が次々と襲ってくる。
そんなとき、「どうして自分ばかり…」と嘆きたくなることもあるでしょう。
でも、昔から人は「苦しみも人生の一部」と受け止めながら、乗り越えてきました。
今回ご紹介する「七難八苦(しちなんはっく)」という言葉は、そんな人生のリアルを真っ向から見つめた四字熟語です。
◆ たとえ話:山を越えたカナの話
カナはずっと「声優になりたい」という夢を持っていました。
高校を卒業して上京したものの、現実は厳しく、オーディションに落ち続け、アルバイトで生計を立てながら必死に養成所に通う日々。
そんなある日、身内の病気で仕送りもストップ。体調も崩し、友人との関係もギクシャクしていきました。まさに「八方ふさがり」。
でもカナは、ふと心に浮かんだ一つの言葉に救われたのです。
「七難八苦を越えて、ようやく本物になる」
そう心に決めて、耐え続けた3年後――。
彼女は、あるアニメで主人公の声を担当する大抜擢を受けたのです。
七難八苦とは、こうした人生の大波小波を越える強さを語る言葉なのです。
◆ 意味と読み方
**七難八苦(しちなんはっく)**とは、
「あらゆる困難や苦しみ」を表す四字熟語です。
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「七難」=七つの災い(戦争・火事・飢饉など)
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「八苦」=八つの苦しみ(後述)
つまり、人生に降りかかるすべての困難や試練をひっくるめた言葉です。
「試練が多い人生だったな…」という意味で使われることが多いですが、乗り越えてきた力を讃えるようなニュアンスもあります。
◆ 起源について
「七難八苦」の起源は、仏教の教えにあります。
特に「八苦」は仏教の根本的な教えであり、人生に避けられない8つの苦しみを指します。
八苦(はっく)の内容:
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生(しょう)…生まれる苦しみ
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老(ろう)…老いる苦しみ
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病(びょう)…病気になる苦しみ
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死(し)…死ぬ苦しみ
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愛別離苦(あいべつりく)…愛する人と別れる苦しみ
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怨憎会苦(おんぞうえく)…憎い人と出会う苦しみ
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求不得苦(ぐふとっく)…求めても得られない苦しみ
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五蘊盛苦(ごうんじょうく)…心と体の働きから生じる苦しみ
これらを含めて、「人の一生は苦しみとともにある」というのが仏教的な人生観なのです。
「七難」はこの八苦に加えて、外的な災難(災害、戦争、火難など)を象徴しています。
◆ 日常でどう活かす?
「七難八苦」という言葉は、ただ「つらいね〜」と落ち込むための言葉ではありません。
むしろ、「それでも前に進むための心構え」として使われます。
たとえば、失敗続きで落ち込んでいるとき、
「今は七難八苦の真っ最中。でも、これを越えたらきっと何かが変わる」
そう思えたら、不思議と力が湧いてくるはずです。
◆ まとめ
「七難八苦」とは、人生の中で避けられない多くの困難と苦しみを表す言葉。
でも、それを知っているからこそ、どんな逆境にも耐え、進むことができる。
苦しみの数だけ、あなたの人生には「深み」と「強さ」が宿っていくのです。
嵐の中でも進むあなたへ、この言葉を贈ります。