「この人には、ついていきたい」――そう思える瞬間はありますか?
仕事でも、趣味でも、人付き合いでも。
「あ、この人と一緒にいると正しい方向に進めそう」
「信じられる」
そう思える相手に出会えることは、そう多くありません。
でも、もしその“道を知る人”に出会ったなら?
孔子は、そのときこそ“迷わず仕えるべきだ”と語ります。
論語の一節:「仕えて道に遇えば、亦た仕えざる可からず」
子曰、「仕えて道に遇えば、亦た仕えざる可からず。」
(し のたまわく、「つかえて みちに あえば、また つかえざる べからず」)
現代語訳すると、
「もし仕えた相手が“道(正しい生き方・理想)”をわきまえている人なら、再び仕えないわけにはいかない」
という意味になります。
ここでの「仕える」は、単なる上下関係ではなく、信頼して従い、共に働くこと。
「道に遇う」とは、人として正しい価値観や生き方に出会うことを指します。
たとえ話:理想の上司に再び出会ったなら
ある若手社員Cさんには、かつて憧れの上司がいました。
その上司Dさんは、仕事に対して誠実で、人を育てる力もあり、決して自分だけが得をするような動きはしませんでした。
Cさんはその姿勢に惚れ込み、日々学びながら成長していきました。
やがてDさんは別部署へ異動し、Cさんも独り立ち。
数年後、Cさんは別の会社で偶然、再びDさんと仕事をする機会に恵まれました。
「もう一度、この人と働きたい」
そう思ったCさんは迷わずDさんのプロジェクトチームに加わります。
孔子の言葉に照らすなら、
「一度“道を持つ人”に出会ったなら、再び仕えぬわけにはいかない」――
それほどまでに、“正しさと誠実さを持つ人”との出会いは尊いということです。
背景と教訓:「道を持つ人」とはどんな人物か?
孔子の理想とした「君子(人格者)」とは、
・私利私欲ではなく「道理」を重んじ
・礼節を守り
・他者のために尽くす人物です。
そんな人物に出会えることはまれですが、
もし出会ったなら、もう一度でも迷わず仕えるべきだ――
孔子はそれを「当然の選択」と語ったのです。
これは単に「誰かに従え」という教えではなく、
**“本当に信じられる価値に出会ったとき、迷わず選びとれ”**という、
とても能動的で力強いメッセージです。
まとめ:「本物との出会いは、人生を変える」
・“道”を知る人物に出会うことは、人生の転機になりうる
・そんな人と再会したら、ためらわずにもう一度仕えよ
・それは“再び学び、共に歩む”チャンス
「誰についていくか」は、「どんな自分になりたいか」とほぼ同じです。
もしあなたの心を動かす“道を持つ人”に出会ったなら、
その縁を信じて、もう一歩近づいてみるのもいいかもしれません。