089【終わりを慎み、遠きを追えば、民徳厚きに帰す】 (おわりを つつしみ、 とおきを おえば、 たみ とく あつきに きす)

祖先を敬い、歴史を学ぶことは、心豊かな社会をつくる第一歩。

こんにちは!今回は、論語の中でも「人と人とのつながり」や「文化の大切さ」に関わる、あたたかくて深い言葉をご紹介します。

「終わりを慎み、遠きを追えば、民徳厚きに帰す」
(おわりを つつしみ、 とおきを おえば、 たみ とく あつきに きす)


意味をやさしく言うと?

この言葉の意味をわかりやすく言うと…

「亡くなった人を大切に弔い、先祖のことをしっかり思い出していれば、人々の心は自然と穏やかで道徳的になる」

つまり、「先祖を大切にし、歴史に学ぶ姿勢が、人々の徳を厚くする」ということです。


たとえ話でイメージしてみよう

ある小さな町で、おじいちゃんおばあちゃんを大切にし、お墓参りを欠かさず行う家庭が多い地域がありました。

そこでは子どもたちが自然に「ありがとう」「ごめんなさい」が言えるし、お年寄りに席を譲ったり、お祭りや行事を手伝ったりしていました。

なぜそんな風に育つのか?
それは、「命のつながり」や「今があることへの感謝」を、親や地域が丁寧に伝えていたから

孔子の時代も同じです。
「亡くなった人を丁重に送り、祖先を敬うこと」こそが、人の心を育て、社会の道徳を厚くすると考えられていたのです。


背景:この言葉が生まれた時代

この言葉は『論語』の「学而(がくじ)」篇に登場します。

孔子が生きた春秋時代(約2500年前の中国)は、戦乱と混乱の時代でした。
そんな中で孔子は、人のつながりや礼儀、歴史を重んじることが、平和で豊かな社会をつくるカギだと説いたのです。


現代にどう活かせる?

この言葉は「祖先崇拝をしよう」と言っているだけではありません。

大切なのは、「歴史を学び、今に感謝し、人の死や命に敬意を払うこと」。

現代風に言えば…

  • 年配の人の話に耳を傾ける

  • 歴史や文化を知ろうとする

  • 亡くなった人への思いを大事にする

  • 命を軽んじる風潮に流されない

そんな姿勢が、私たちの心を豊かにし、人と人とのつながりを深めてくれるという教えなんです。


おわりに

「終わりを慎み、遠きを追えば、民徳厚きに帰す」

この言葉には、人としてのあたたかさと、社会を支える知恵が詰まっています。

目に見えないけれど大切なもの――
それを見つめ直すとき、この孔子の言葉が、私たちの背中をそっと押してくれるかもしれません。