「目指すべき道」と「恥を知る心」が人生の舵になる
何かを始めようとするとき、あなたはまず何を考えますか?
目標?手順?それとも成功する確率?
孔子が伝えたのは、成功のためのテクニックではありませんでした。
それよりももっと、人としての根っこになる考え方を重んじたのです。
その一つがこの言葉です。
志を立てて道に向かい、恥を知って止まる
(こころざしをたてて みちにむかい、はじをしって とどまる)
意味は、「自分の志をはっきりと立て、それに向かって努力する。そして、道に反したことを恥じて、そこで止まることができる人こそ立派である」ということ。
たとえ話で見る:「進むべき道」と「引き返す勇気」
ある青年が、大好きな料理を仕事にしようと、人気のレストランで修行を始めました。
しかし、ある日、店の料理長が賞味期限切れの食材をこっそり使っている場面を目撃してしまいます。
「ここにいれば有名な料理人になれるかもしれない…でも、それでいいのか?」
彼は悩みましたが、最終的にその店を辞め、自分の志を守る道を選びました。
この青年はまさに、**「志を立てて道に向かい、恥を知って止まる」**を体現した人物です。
出典と意味の背景:『論語』の「顔淵(がんえん)」篇より
この言葉は、『論語』の「顔淵」篇に出てきます。
志を立てて道に向かい、恥を知って止まる、亦た可なり。
孔子はここで、志を持って正しい道(=道徳、仁、義)を目指し、道から外れることを恥じる気持ちがある人こそ、人間としての「筋が通った生き方」ができると述べています。
現代に活かすヒント:「自分の軸」と「ストップの感覚」
現代社会では、成果やスピードが重視されがちです。
でも、それだけでは“正しい判断”ができるとは限りません。
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自分が何のためにそれをしているのか?(=志)
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それは本当に自分の信念に合っているか?(=道)
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もし間違っていると気づいたら、止まる勇気はあるか?(=恥)
これらを持ち続けることが、ブレない生き方につながっていきます。
おわりに:走ることより、大切なのは“向かう方向”
「志を立てて道に向かい、恥を知って止まる」
この言葉が教えてくれるのは、
ただ前に進むことよりも、“どこへ向かうか”と“どこで立ち止まるか”が、人生の価値を決めるということです。
立ち止まることは、負けではありません。
それはむしろ、自分の信念を守るための「強さ」なのです。
だからこそ、焦らず、自分の道を見つけて、まっすぐに進んでいきましょう。