〜「出世しない」と悩む前に、「出世するに足る力」を育てよう〜
「なんで自分は評価されないんだろう?」
「もっと責任あるポジションに就きたいのに…」
そう感じること、ありますよね。
でも、そんなときにこそ思い出したいのが、今回ご紹介する論語の一節です。
【出典と意味】
この言葉は『論語』の「学而(がくじ)」篇に登場します。
位無きを患えずして、立つ所以を患う。
現代語訳すると、こうなります。
地位がないことを悩まず、その地位にふさわしい実力が自分にあるかを気にかけなさい。
つまり、
-
「今の地位が低い」と嘆くのではなく、
-
「その地位にふさわしい人間になっているか」を考えよ、ということです。
【たとえ話でイメージしてみよう】
たとえば「昇進を願う若手社員」
ある若手社員が「なぜ自分は課長になれないんだ」と不満をこぼしています。
しかし、実は彼はまだプレゼンも苦手で、チーム全体をまとめる力もこれから。
一方で、同僚のAさんは黙々と仕事をこなし、周囲からの信頼も厚く、自然とリーダー役を任されるように。
結果、昇進したのはAさんでした。
このとき、若手社員は気づきます。
**「役職を欲しがるより、役職にふさわしい力をつける方が先なんだ」**と。
【孔子がこの言葉を語った背景】
この言葉は、孔子が弟子たちに「志の持ち方」を教えた場面に出てきます。
孔子の時代、中国では官職に就くこと=成功、と考えられていました。
でも孔子は、それよりも**「立場に見合う人間になること」が大切**と説いたのです。
だからこそ、「地位がない」と嘆くのではなく、
その地位に値する実力や人格があるかを常に問い直せというメッセージを残しました。
【現代への応用】
この教えは、現代のビジネスや人生にもそのまま活きます。
-
「リーダーになりたい」と願うなら、まずリーダーシップを磨く
-
「起業したい」と考えるなら、まず信頼される人間になる
-
「人気を得たい」と思うなら、まず人を喜ばせる力を身につける
求める地位に「ふさわしい人」であることが、結果的に評価される近道なのです。
【まとめ】
【位無きを患えずして、立つ所以を患う】は、
「地位がない」と悩むより、「地位に見合う力が自分にあるか」を気にかけよという教えです。
評価や肩書きは、自分の外側にあるもの。
でも「ふさわしい自分を作ること」は、自分の手でできること。
焦る気持ちをぐっとこらえて、**「立つ所以=実力・人格」**を静かに磨くことこそが、
本当の成長につながります。