〜自分が正しくあってこそ、人にも正しさを求められる〜
「あの人、自分はできてないのに、他人には厳しいよね…」
こんなふうに感じたこと、ありませんか?
今回は、そんな“ブーメラン発言”にならないために、
孔子が説いた「人に何かを求める前に、自分の姿勢を見直そう」という大切な教えをご紹介します。
【出典と意味】
この言葉は『論語』の「子路(しろ)」篇に登場します。
其身正、不令而行;其身不正、雖令不従。
其の身を正しくして人に正しきを求む。
意訳すると、
自分の行いが正しければ、命じなくても人は従う。
自分の行いが正しくなければ、命じても人は従わない。
つまり、人を導きたければ、まず自分が正しくあることが大前提だという教えです。
言葉で言うより、行動で示すことの大切さを説いています。
【たとえ話でイメージしてみよう】
たとえば「掃除を指示する先生」
ある先生が生徒に「教室はきれいに使いなさい」と言います。
でもその先生の机はいつもぐちゃぐちゃで、ゴミも片付けずにそのまま。
それを見た生徒たちは、こう思います。
「先生ができてないのに、なんで私たちに言うの?」と。
逆に、毎日自分の机を整えて、ゴミも拾っている先生が「掃除しよう」と言えば、
生徒たちは自然と「やろう」と感じるものです。
まさに、「身を正しくして、人に正しきを求める」の好例ですね。
【孔子がこの言葉を語った背景】
孔子は、政治や教育において「上に立つ者の姿勢」を非常に重視しました。
当時の中国では、命令や規則で人を動かそうとする支配者が多かったのですが、
孔子はそれに対して「言葉ではなく、まずは模範を示すべきだ」と説いたのです。
この言葉は、単に上司や先生だけでなく、親・先輩・リーダーすべてに向けられた戒めでもあります。
【現代への応用】
この教えは、現代でもさまざまな場面で生きています。
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親が子どもに「勉強しなさい」と言うが、親はスマホばかり → 子どもは納得しない
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上司が「時間を守れ」と言うが、自分はいつも遅刻 → 部下の信頼は得られない
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チームリーダーが「協力しよう」と言いながら、1人で突っ走る → メンバーは冷めてしまう
反対に、自分が率先して行動する人には、周囲も自然とついてきます。
信頼は、言葉ではなく行動から生まれるのですね。
【まとめ】
【其の身を正しくして人に正しきを求む】は、
人を正そうとするなら、まず自分が模範を示すべきだという孔子の教えです。
自分ができていないことを他人に求めていないか?
ふと立ち止まって、自分自身を見直すきっかけにしてみてください。
口先だけの人ではなく、「行動で信頼を集める人」に、あなたもなれるはずです。