037【君子は坦かに蕩蕩たり。小人は長えに戚戚たり】(くんしはひらたかにとうとうたり。しょうじんはとこしえにせきせきたり)

「心にゆとり、持てていますか?」

忙しい現代社会、やることが山積みで気持ちがいつも焦ってしまう

——そんなときこそ、孔子の言葉に耳を傾けてみませんか?

今回は論語の中でも、心のあり方を鋭く見つめた一句をご紹介します。

原文と意味

君子坦坦蕩蕩、小人長戚戚。
(くんしはたんたんとうとうたり、しょうじんはとこしえにせきせきたり)

この言葉は『論語』の「述而じゅつじ」篇に収録されています。

意味:

立派な人(君子)は、心が穏やかで広々としており、動じない。

一方、つまらない人(小人)は、いつもびくびくと不安におののいている。

たとえ話

ある日、試験を控えた二人の学生がいました。

一人は日頃からコツコツと勉強を続けてきたA君。

試験前日も特別なことはせず、穏やかな顔で「まあ大丈夫だろう」とリラックス。

もう一人は普段から勉強をサボっていたB君。

前日は徹夜、試験直前まで参考書にかじりつき、顔は青ざめ、落ち着きがない。

A君が「君子」、B君が「小人」にあたります。

孔子は、心にやましいことがない人は自然と落ち着いていられる、逆に、ズルやごまかしをしてきた人は、いつも不安や恐れに付きまとわれる、と説いているのです。

起源と背景

この言葉は、孔子が“人の内面の静けさと動揺”を対比して語ったものです。

儒教では「君子」を理想の人物像として重視しており、道徳や礼儀を守るだけでなく、心の安定や誠実さまでも含めた人格の完成を目指します。

つまり、「心に迷いや不安があるのは、自分の行動に自信がない証拠」ともいえるのです。

現代にどう活かせる?

この言葉は、現代の私たちにも大切なヒントを与えてくれます。

  • 上司にバレないかドキドキするような仕事のごまかし
  • 他人と比べて落ち着かないSNSの投稿チェック
  • 誰かに責められそうで言い訳ばかり考えてしまう心のざわつき

そんな“戚戚せきせき”とした気持ちになったときは、まずは自分の行動を振り返ってみましょう。

誠実に、真っ直ぐに生きることが、心の平穏=「坦蕩たんとう」につながるのです。

まとめ

君子くんしひらたかに蕩蕩とうとうたり。小人しょうじんとこしえに戚戚せきせきたり」

——心の安定は、日々の積み重ねと誠実な行動から生まれるもの。

人の目を気にするより、自分の良心に胸を張れる生き方を選びたいですね。