032【吾日に三たび我が身を省みる】(われ ひに みたび わがみを かえりみる)

「今日はどんな一日だった?」と自分に問いかける大切さ

毎日が忙しくて、つい流されてしまうような日々。

気づけば夜になり、スマホを見ながら眠りにつく……

そんな毎日を過ごしていませんか?

でも、ちょっと立ち止まって、こんなふうに自分に問いかけてみるのはどうでしょう?

「今日は、自分に恥じない行いができたかな?」

そんな“ふり返り”の大切さを教えてくれるのが、今回ご紹介する論語の言葉です。

論語の一節

吾日われひたびかえりみる

――『論語』より(弟子・曾子の言葉)

たとえ話

これは、孔子の弟子「曾子そうし」の言葉です。彼はこう言います。

「私は毎日、自分を三回ふり返って反省する。」

たとえば、あなたがカフェの店員さんだったとします。

朝は忙しくて、ついお客様に無愛想な態度をとってしまった。

昼は同僚にきつく当たってしまったかも。

夜、レジのお釣りを間違えていないか気になっている。

そんなとき、家に帰って「自分の言動、大丈夫だったかな?」と振り返る。

それが、曾子が言う「日に三たび我が身を省みる」ということ。

彼は毎日こう問いかけていたそうです:

  1. 人に対して誠実だったか?
  2. 友との約束を破っていないか?
  3. 教えをしっかり実践しているか?

この三つの問いで、自分の行いをチェックしていたのです。

起源と背景

「三たび」と言っても、必ず三回じゃないとダメというわけではありません。

古代中国では「三」は“多く”や“十分に”という意味も持つ数字です。

曾子は、形式ではなく「こまめに、自分を見つめ直す」ことが大切だと考えたのです。

まるで体温計で熱を測るように、心の温度を毎日チェックしていたのですね。

現代に活かすなら?

この言葉を現代で活かすなら、夜寝る前の3分だけでもいいので、次の3つの質問を自分にしてみましょう。

  • 誰かに優しくできただろうか?
  • 嘘やごまかしはしなかっただろうか?
  • 今日やるべきことをきちんとできただろうか?

この小さな習慣が、自分を正すコンパスになってくれるはずです。

まとめ

吾日われひたびかえりみる】

――これは、自分の心と向き合い、まっすぐに生きるための“心の鏡”のような言葉です。

忙しい毎日の中でも、たった数分でいい。

ほんの少し、自分の心に耳を澄ませてみませんか?

それだけで、きっとあなたの明日は、もっと穏やかで誠実な一日になるはずです。