011【巧言令色、鮮なし仁】(こうげんれいしょく、すくなしじん)

「この人、言葉はうまいけど、なんだか信用できないな……」

そんなふうに感じたことはありませんか?

今日は、そんな場面にピッタリな論語の言葉巧言令色こうげんれいしょくすくなしじんを、たとえ話を交えて紹介します!

この言葉の意味

巧言こうげん」は「口先のうまい言葉」、「令色れいしょく」は「愛想のいい顔つき」のこと。

つまり、言葉巧みに話し、愛想を振りまく人には、本当の「じん=思いやり」が少ない、という意味です。

孔子は、表面的な言葉や態度ではなく、心の中に本当の誠実さがあるかどうかが大切だと言っています。

たとえ話

ある町に、お客さんでにぎわうパン屋さんがありました。

店長は、二人の新人店員を雇いました。

店員A:口がうまく、愛想のいい青年

「いらっしゃいませ! 本日おすすめのパンはいかがですか?」

「お客様、素敵な服ですね!」

店員Aはとにかく接客が上手で、お客さんにはニコニコと愛想よく話しかけました。

しかし、裏では仕事をサボり、掃除やパンの補充は他のスタッフに任せきりでした。

店員B:言葉少なめだが、誠実な青年

店員Bは、おしゃべりはあまり得意ではありませんでした。

でも、パン作りを手伝い、掃除も欠かさず、お客様が求めるものを的確に提供しようと努力していました。

ある日、店長はこう言いました。

「Aはお客さんには人気だけど、仕事は人任せだ。一方、Bは言葉は少なくても、店のためにちゃんと働いている。本当に信頼できるのはBのほうだな」

そう、この話がまさに「巧言令色こうげんれいしょくすくなしじん」なのです。

見た目や言葉だけで人を判断すると、本当に誠実な人を見落としてしまうこともあるのです。

この言葉の起源

この言葉は『論語』の「学而がくじ」という章に登場します。

孔子は、表面的な言葉や態度だけで人を判断するのではなく、内面の誠実さを見極めることが大切だと説きました。

当時の中国でも、政治家や商人の中には、言葉巧みに人を騙そうとする者がいました。

孔子は、そうした人々に警戒するよう弟子たちに教えたのです。

まとめ

巧言令色こうげんれいしょくすくなしじん」は、言葉や態度がいくら良くても、本当に思いやりのある人とは限らない、という教えです。

大切なのは、表面ではなく、その人の行動や本質を見極めることですね!

みなさんの周りにも、口先だけの人と、本当に誠実な人がいるかもしれません。

この言葉を思い出して、信頼できる人を見極めてみてください!