「あの人、あんな態度で大丈夫かな…」
「ついイラッとしたけど、よく考えたら自分にも似たところあるかも…」
そんなときに思い出したいのがこの言葉――
「人の振り見て我が振り直せ」
他人の言動は、自分自身を見つめ直すための“鏡”でもあるのです。
💡「人の振り見て我が振り直せ」とは?
このことわざの意味は、以下のとおりです。
他人の行動や態度を見て、良くない点があれば、自分も同じことをしていないか振り返り、あらためるようにしよう。
つまり、「人の悪いところを責める前に、自分を見直す材料にしよう」という謙虚さと学びの姿勢を説いたことばです。
🪞たとえ話|「鏡の国のふたり」
ある日、不思議な村に「鏡の国」が現れました。
そこでは、人の行動が“自分の姿”として鏡に映る不思議なルールがありました。
村の少年タクヤは、いつも他人の悪口を言っていましたが、鏡に映るのは自分自身が怒鳴る姿。
「なんでこんなに嫌な顔なんだろう…?」
あるとき、隣人がゴミを出し忘れて町内会で怒られていました。
「だらしないな」と笑いながら自分の部屋を見渡すと…そこにも、出しっぱなしのゴミ袋が。
その日から、タクヤは人のふりを見て、まず自分を整えるようになりました。
🏯起源・由来
このことわざの起源は、江戸時代以前の日本の道徳観にさかのぼります。
武士の礼儀作法や寺子屋教育などでも繰り返し教えられ、
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「他人の失敗を反面教師とせよ」
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「自らを省みて恥じる心を忘れるな」
といった、自己反省を重んじる日本の伝統的価値観に基づいています。
また、中国の『論語』にも通じる思想があり、
孔子の「徳のある人は、自分の行動を常に省みる」という教えにも近いものがあります。
🔄現代での使い方
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「あの人、職場で挨拶しないなぁ…」
→ 自分はちゃんと挨拶できてるかな?人の振り見て我が振り直せ -
「あの人、時間にルーズだなぁ…」
→ 自分もギリギリで動いてない?我が行動、見直すチャンスかも -
「SNSでマナー悪い投稿を見るとモヤモヤする」
→ 自分の投稿も、誰かを不快にしていないかな?
他人の欠点を責めるだけで終わらず、自分を成長させるヒントとして活用するのが、このことわざの真髄です。
✨まとめ
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意味:他人の行動を見て、自分に同じような点がないか見直し、あらためること
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たとえ話:鏡の国では、人の行動が自分に映る。そこに気づいた少年は変わった
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由来:日本の礼儀作法や道徳観、中国の儒教思想にもつながる“省みる心”
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現代の使い方:他人のふるまいから、自分の言動を見直す機会にしよう
悪い例も、良い例も、人を通して「自分を知る鏡」にできる。
それができる人は、自然と周囲からの信頼も深まります。
「人の振り見て我が振り直せ」
このことばが教えてくれるのは、人を見る目と、自分を磨く姿勢です。