「あれ?自分はなんでこれを始めたんだっけ?」
忙しさや慣れの中で、ふと足元が見えなくなるとき、ありませんか?
そんなときに大切なのがこの言葉、
**「初心に帰る(しょしんにかえる)」**です。
◆ 「初心に帰る」の意味とは?
この言葉の意味はとてもシンプル。
物事を始めたときの新鮮な気持ち、謙虚さ、やる気を思い出すこと。
時間が経ち、ある程度の経験や成果を得てくると、人はつい慢心したり、本来の目的を見失ったりします。
そんなときに「初心に帰る」ことは、自分の原点を見つめ直し、リスタートするための大切な姿勢です。
◆ たとえ話でイメージしてみよう
🏃♂️マラソンランナー・アキラの話
アキラは市民マラソンの常連ランナー。
最初は「健康のため」「自分に挑戦してみたい」という純粋な気持ちで走り始めました。
けれど、何度も大会に出るうちに「順位」や「他人の評価」にこだわるように。
完走しても「前より遅かった…」と自分を責める日々。
そんなとき、ふとスマホのアルバムにあった1枚の写真――
初レースで笑顔いっぱいにゴールした自分を見つけました。
「そうだ、自分は“楽しみたくて”走り始めたんだ」
そう思えたとき、アキラはまた走ることが楽しくなりました。
初心に帰ることで、自分本来の気持ちに気づける。
そんな大切さを教えてくれるストーリーです。
◆ 起源・歴史背景
「初心に帰る」は仏教や武道の精神に近いところがありますが、
特に有名なのは禅の言葉にあるこちら:
「初心忘るべからず」(世阿弥『風姿花伝』より)
これは、能楽の創始者・世阿弥が語った芸道の心得で、
「芸を深めるには、初めて舞台に立ったときの緊張と感動を忘れてはいけない」という意味です。
この精神が時代を超えて広がり、今ではスポーツ・ビジネス・学びなど、さまざまな場面で使われるようになりました。
◆ こんなときに使える!
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仕事がマンネリ化しているとき
→「ちょっと初心に帰って、やりがいを見直してみようかな」 -
目標を見失いかけている仲間に
→「初心に帰るって大事だよ。最初の気持ち、覚えてる?」 -
人間関係に疲れたとき
→「あの人と出会ったころの気持ち、思い出してみよう」
◆ 似た言葉・補足表現
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「初心忘るべからず」
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「原点回帰」
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「初志貫徹」
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「原点に立ち返る」
それぞれ微妙にニュアンスは違いますが、どれも**“スタート地点を見直す”**という意味を持っています。
◆ おわりに
物事に慣れてきたときほど、私たちは油断や慢心、迷いに陥りがちです。
そんなときこそ、一度立ち止まってこう問いかけてみましょう。
「自分は、何のためにこれを始めたんだっけ?」
初心に帰ることは、自分の中にある“原動力”と再び出会うこと。
それは、これからまた歩き出すための一番のエネルギー源になるはずです。