067【初心に帰る】迷ったときは、最初の気持ちを思い出そう

「あれ?自分はなんでこれを始めたんだっけ?」
忙しさや慣れの中で、ふと足元が見えなくなるとき、ありませんか?

そんなときに大切なのがこの言葉、
**「初心に帰る(しょしんにかえる)」**です。


◆ 「初心に帰る」の意味とは?

この言葉の意味はとてもシンプル。

物事を始めたときの新鮮な気持ち、謙虚さ、やる気を思い出すこと。

時間が経ち、ある程度の経験や成果を得てくると、人はつい慢心したり、本来の目的を見失ったりします。
そんなときに「初心に帰る」ことは、自分の原点を見つめ直し、リスタートするための大切な姿勢です。


◆ たとえ話でイメージしてみよう

🏃‍♂️マラソンランナー・アキラの話

アキラは市民マラソンの常連ランナー。
最初は「健康のため」「自分に挑戦してみたい」という純粋な気持ちで走り始めました。

けれど、何度も大会に出るうちに「順位」や「他人の評価」にこだわるように。
完走しても「前より遅かった…」と自分を責める日々。

そんなとき、ふとスマホのアルバムにあった1枚の写真――
初レースで笑顔いっぱいにゴールした自分を見つけました。

「そうだ、自分は“楽しみたくて”走り始めたんだ」

そう思えたとき、アキラはまた走ることが楽しくなりました。

初心に帰ることで、自分本来の気持ちに気づける。
そんな大切さを教えてくれるストーリーです。


◆ 起源・歴史背景

「初心に帰る」は仏教や武道の精神に近いところがありますが、
特に有名なのは禅の言葉にあるこちら:

「初心忘るべからず」(世阿弥『風姿花伝』より)

これは、能楽の創始者・世阿弥が語った芸道の心得で、
「芸を深めるには、初めて舞台に立ったときの緊張と感動を忘れてはいけない」という意味です。

この精神が時代を超えて広がり、今ではスポーツ・ビジネス・学びなど、さまざまな場面で使われるようになりました。


◆ こんなときに使える!

  • 仕事がマンネリ化しているとき
    →「ちょっと初心に帰って、やりがいを見直してみようかな」

  • 目標を見失いかけている仲間に
    →「初心に帰るって大事だよ。最初の気持ち、覚えてる?」

  • 人間関係に疲れたとき
    →「あの人と出会ったころの気持ち、思い出してみよう」


◆ 似た言葉・補足表現

  • 「初心忘るべからず」

  • 「原点回帰」

  • 「初志貫徹」

  • 「原点に立ち返る」

それぞれ微妙にニュアンスは違いますが、どれも**“スタート地点を見直す”**という意味を持っています。


◆ おわりに

物事に慣れてきたときほど、私たちは油断や慢心、迷いに陥りがちです。
そんなときこそ、一度立ち止まってこう問いかけてみましょう。

「自分は、何のためにこれを始めたんだっけ?」

初心に帰ることは、自分の中にある“原動力”と再び出会うこと。
それは、これからまた歩き出すための一番のエネルギー源になるはずです。