
こんにちは。
何かを始めようとしたとき、「無理かも…」「自分にはできない」と心がブレーキをかけてしまうこと、ありませんか?
そんな時に、背中をグッと押してくれる言葉があります。
それが今回紹介することわざ──
「志あれば山をも移す」
この言葉は、「強い意志があれば、どんなに困難なことでも実現できる」という意味を持ちます。
夢や目標がどんなに大きくても、本気で願い、努力を続ければやがて道は開ける
──そんな力強いメッセージが込められています。
たとえ話
昔々、ある小さな村に、一人の農夫がいました。
彼の家の前には、大きな山がそびえ立っていて、毎日畑に行くにはその山をぐるりと回らなければなりません。
往復で半日かかります。
「この山さえなければ、もっと早く畑に行けるのに……」
そう思っていた農夫は、ある日、スコップを手に山の土を少しずつ運び始めました。
村人たちは笑いました。
「そんなことで山がなくなるわけがない」と。
しかし、農夫は毎日欠かさず土を運び続けます。
雨の日も、風の日も。
数年経つと、彼の努力を見た人々が少しずつ手伝い始めました。
やがてその輪は村中に広がり、何十年後、ついにその山は切り開かれ、まっすぐな道ができたのです。
誰もが無理だと思っていたこと。
でも、「やる」と決めた一人の想いが、人を動かし、山すら変えてしまったのです。
起源について
「志あれば山をも移す」は、日本のことわざとして定着していますが、そのルーツは中国にあります。
この言葉は、中国の古典『列子』に収められている「愚公移山」という話が元になっています。
あらすじ
中国の古代、九十歳の男「愚公」の家の前には二つの大きな山があり、村への行き来にとても不便でした。
愚公は決心します。「この山を削って、道を作ろう」と。
家族に反対されても、「自分が死んでも、子や孫が続けてくれれば、いつか山はなくなる」と言い、土を掘り続けます。
それを見ていた天の神様が感動し、神の力で山を動かしてしまった──というお話です。
このエピソードから、「強い意志は天をも動かす」という思想が生まれ、それが「志あれば山をも移す」という形で日本でも使われるようになりました。
おわりに
「志あれば山をも移す」は、ただの気合い論ではありません。
本気の想いが人を動かし、環境を変え、現実を変えていく。
その力があるということを、古人たちは教えてくれています。
もし、あなたが「無理かも」と感じていることがあれば、思い出してみてください。
まずは小さな一歩から。
山は、動かせるのです。