はじめに
戦国時代の主戦場は中部や関西。
けれど、北東北でもたくさんの戦いがありました。
今回は、内紛だらけの南部家をまとめあげ、のちの盛岡藩につなげた男——
南部信直のお話です。
お家騒動だらけのスタート
信直が生まれた頃、南部家は分裂状態。
本家・分家・養子・外様が入り乱れて、混乱の真っ只中でした。
彼自身も分家の生まれで、正統な跡継ぎとは言えません。
でも、信直はじっと耐え、タイミングをうかがいます。
軍事・政治どちらもこなす器用さ
内紛を鎮めるため、時に剣を振るい、時に調停者として振る舞いました。
領内の豪族たちとも、手を組んだり距離を取ったり。
地元の情勢をしっかり読み、ゆっくりと“南部のまとめ役”に成長していきます。
豊臣政権に接近
天下を取った豊臣秀吉のもとへ、いち早く出仕。
それによって、南部家の正統な大名としての地位を認められました。
これが、南部家が江戸時代も生き残る大きな転機になります。
東北の端から天下の流れに乗る。
その情報力と行動力、見事でした。
江戸時代への土台を築く
信直は、家の内外を安定させることに尽力しました。
息子の利直に家督を譲るころには、南部家は20万石超の大名として確固たる地位に。
のちの「盛岡藩」として、幕末まで続く長寿家となります。
おわりに:影の立て直し役
南部信直は、あまりドラマで主役になりません。
けれど、荒れ果てた家を一から再建した手腕は一級品。
北奥羽のまとめ役として、今こそもっと評価されていい存在です。
戦国を“整える”という戦い方。
その渋さ、かっこいいと思いませんか?